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評者◆円城塔
だってさあ、馬鹿だから。――おそるべき手際に何度でも改めて戦慄するべき、名作
馬鹿たちの学校
サーシャ・ソコロフ 著 東海晃久訳
No.3001 ・ 2011年02月12日




 一九七二年、ソコロフはカリーニン州ベズボロドフスク猟場で、本書『馬鹿たちの学校』を記す。ソ連体制下において物書きであろうとしつつ流転を続けるさなかでのことである。ただし、出版の目処は立たない。ロシア語版がウィーンで出版されるのは、四年後の一九七六年になる。英語版が一九七七年。ほぼ時期を同じくして、カナダ国籍を取得。
 医師をめざしつつ死体公示所の清掃員、解剖のアシスタントを経て外国語学校へ。兵役を逃れるために精神疾患を装い入院し退学処分。文学グループに所属後、ジャーナリスト学科に入学。地方の新聞社に就職するがモスクワへ戻り、新聞社へ入局するも、二十九歳、猟兵としてベズボロドフスクへ。その後――と、訳者あとがきに見える経歴を書き出すだけで、紙面が尽きそうな勢いである。
 現代ロシア文学における重要人物(である、とも訳者あとがきから)の処女作の紹介が何故かくも遅れたのかというのはもっともなのだが、その疑問は頁を開けばすぐさま氷解する。こんなものは翻訳できるはずがない。こうしてできているわけなのだが。日本訳を成し遂げた東海晃久へ感謝を。
 小説は奇妙な語りではじまる。僕――これにはのちに、翻訳上の技巧としての俺が加わる――の独白のようでもあり、誰かに語りかけるようにも読めて、二人の人物...







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