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評者◆秋竜山
気持ちがいい名言、の巻
No.2997 ・ 2011年01月15日




 「あなたの座右の銘は?」と、聞かれると、ハタ、と考える。サッと答えなくてはいけないだろう。時間をおくと、うそっぽくなってしまう。「調べておきます」と、いうものではないだろう。で、あるからして、日頃、一つや二つの座右の銘なるものを暗記しておくべきだろう。「ハイ!! 私には座右の銘などというものはありません」では、ちょっぴり味けない人間のようにも思えてくる。別冊宝島編集部編『「座右の銘」1300――人生の指針が見つかる』(宝島社、本体四五七円)は、この手の本は昔から沢山でている。でも、新刊をなぜか買ってしまう。つまりは、本書に書かれてあるように~人は言葉に励まされ、癒されるからだ。癒されたいのである。
 〈本書では、洋の東西を問わず、先賢の残した1300の言葉を集めた。悩んだ時にはもちろん、時間のある時、本書をパラリとめくってみてもらいたい。人生を動かされるような言葉との出会いがあるに違いない。「座右の銘」という言葉は、中国南北朝時代、南朝梁の昭明太子によって編纂された詩文集「文選」に収められた後漢の崔子玉がのこした「座右銘」に由来する。常に自分の心に留めておいて、戒めや励ましとする言葉である。〉(本書より)
 短い文章(言葉)で、いいことを言っている。偉い人のいう言葉は違うものだなァ!! と、あらためて思う。私の思い出としては、十代の頃であった。漫画家になりたい。毎日、そのことばかり考えていた。上京した。私と同じように漫画家になりたいと思い続けている友人の所へ遊びに行くと、彼のアパートの部屋の壁に貼られた紙切れ。〈天才は99%の努力である。〉という文字が彼の字で書かれてあった。当時、天才というと発明王エジソンと決まっていた。発明王エジソンだけが天才であった時代だったかもしれない。それというのも学校の教科書にのっていたから誰もが知っていたのだ。天才は100%の才能ではないという。99%の努力だというのだ。「あとの1%が問題だなァ」なんて友人と話したものであった。「その1%の才能が天才の才能であって凡人の才能ではないんだよな」。しかし、この名言に私たちは救われた。それは努力という言葉であった。自分も努力すれば漫画家になれるという希望がもてたものであった。「努力といっても天才の努力と我々凡人の努力と、まったく違うものだよ」なんて、言いあったりもした。そーいいつつも、みんなその名言を紙に書いて自分のアパートの壁に貼った。
 〈最も笑うべき、最も向こう見ずな希望が、ときとして異常な成功の因であった。‐マルク・ド・ヴォーヴナルグ〉。〈天才?そんなものは決してない。ただ勉強です。方法です。不断に計画しているということです。‐ロダン「語録」〉(本書より)
 本書には、いい事ばかりが書かれてある。「ウン!! なるほど、そーいうことか」と、うなることばかりだ。もっとも、名言というものは、そーいうものではあるけれど。〈人間好きな道によって世界を切り拓いてゆく。〉坂本竜馬(「竜馬がゆく」〔文藝春秋〕)。〈努力は幸福を手に入れる手段ではなく、努力そのものが幸福を与えてくれるのである。‐トルストイ〉
 名言というものは、気持ちがいいものである。







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