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評者◆鴻農映二
地に堕ちた韓国文壇――「文人協会」内で暴力事件
No.2993 ・ 2010年12月11日




 嫌な話は書きたくないのだが、コト、ここに至ると、きちんと報告しておいたほうがよいだろう。韓国文学100年史上、呆れ返る事件が発生した。会員12000人を擁する「韓国文人協会」で暴行事件が起きた。加害者は、事務局長のK、被害者は、事務次長のCだ。どちらも女性である。
 当日、Cがコンピューターに向かい、仕事をしていると、Kがやってきて、Cの髪の毛をつかみ、キャビネットや机にCの頭をぶつけた。Cは意識を失い、そばにいた職員が救急車を呼んだ。Cは一週間、入院し、現在も通院中だ。
 原因は入会を希望する申請書類が一時、見当たらなかったことにあるという。1月に選挙が実施され理事長をはじめ、職員まで交代する。事件の背後には、KとCの支持する候補が異なり、当否の別によって、どちらかが居残れる(再雇用)可能性のあることがあった。Kが怒ったのは、CがK側の入会希望者の書類を隠したのではと邪推したからだった。入会希望者の1票も票だ!
 韓国では、文人協会とペンクラブの選挙は、ビッグイベントだ。昔の自民党の総裁選を想えば、イメージが近いだろうか……。勝った者は、天下を獲った気分になる。4年の間だけだけれど。
 今回も理事長には5人が立候補宣言している。情けないのは、そのうち一人は、二人の女性から強姦罪で訴えられ、巨額の慰謝料で和解した男であることだ。また別の一人は、ドメスティック・バイオレンスで女房への100メートル以内接近禁止処分にあっている。
 「出たい人より、出したい人」が、選挙の理想だが、現実は、こんな質の悪い連中が競い合う状態にまで腐敗してしまった。Kは、DV男の愛人との噂がある。だから暴力気質なのだろうか。
 本紙連載「ノーベル文学賞の獲れない構造」は、ありのままを述べた。選挙の話は控えただけだが、今回の事件で触れざるをえなくなった。KはCにあやまるどころか自分がやられたと強気だ。こんな国の文学、だれが読もうと思うだろう。私はもっとひどいことの起きる予感がしている。
(韓国文学)







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