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評者◆足立正生
逆賊が主役の時代に、反逆は可能か――平沢剛編『若松孝二全発言』を読む
若松孝二全発言
平沢剛編
No.2990 ・ 2010年11月20日




この本は、何とも一直線である。それもそのはずで、若松孝二の「全発言集」であるから、隅から隅まで、世間と時代に対する反発と悪態と呪詛と独断の連続だ。
 しかも、それは、怒りの迸りの結果が連なる1960年代初めから現在に至るまでの、その時々の正統派や多数派に一貫して邪魔者扱いされて爪弾きにされたことへの、酷い時は「論外」的な存在として蔑まれてきたことへの若松孝二の剥き出しの主張である。あたるを幸い四方八方に悪罵が投げられる。いや、四方八方から指弾され続けるので、多少は受身の立場を取りながら、群れを成して押し寄せる差別主義者や事大主義者への反発や反論を開始し、展開部分は「そんな寝言を言う奴は言わせておけ」と正面から受けとめて諭し、しかし結論的には、馬鹿の相手をしている暇は無いと切り返して「俺は俺流に生きる」と本気の啖呵で切り落とすのだ。短い各論の何処を突いても、差別された者の怨嗟や内省などは微塵も感じさせない。読む者は呆気を通り越して、短編講談集として読まされて、愉快さに笑い出してしまうだろう。
 この本を、もし若松孝二の名前を抜き取って「邪魔者の発言集」とし、「時代・闘争・肉体・映画」という課題的な暗示と「思想と表現」という主題が帯に刷り込まれなければ、一種の異端の病的な反骨魂が...







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