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評者◆ベイベー関根
ロック・ミュージシャンが切り拓いたスーパーヒーロー物語のネクストページ!――ジェラルド・ウェイ/ガブリエル・バー著、金原瑞人訳『アンブレラ・アカデミー 組曲「黙示録」』(本体二二〇〇円、小学館集英社プロダクション)
No.2979 ・ 2010年08月28日




 『フロム・ヘル』は華麗にスルーしたが(死語)、売れてくれてるようでよかったよかった。スルーといえば、嘉納悠天『じょなめけ』とか、比嘉慂『美童物語』2巻とか、平本アキラ『やりすぎコンパニオンとアタシ物語』とかをスルーしちゃったのは痛かったな、『やりコン』なんて1巻で終わると思ってなかったからなー。それはともかく、アメコミがまた少し注目されてきたのは嬉しいね。それでもまだ『ビッグコミック』じゃない方の『スピリッツ』なんかは翻訳がスルーだからな、問題だよこりゃ……というわけで、今回は超激オシ、『アンブレラ・アカデミー』だ!
 ある日、世界各地で妊娠していない女性から超能力をもつ赤ん坊が生まれた。天才科学者にして異星人のハーグリーヴズ博士はそのうちの7人をひきとり、その理由を「世界を救うため」だと説明して行方をくらました。数年後、エッフェル塔が発狂するという怪事件を子供たちがそれぞれの超能力を発揮して解決、〈アンブレラ・アカデミー〉が発足するが、実際の物語はそこからまたずいぶん後、成人した彼らが〈アカデミー〉活動を止め、ハーグリーヴズ博士の葬儀に出席するところから始まる。
 メンバーは:ゴリラの身体と怪力をもつ1、通称スペースボーイ。敏捷で強靭な片目のナイフの使い手2、クラーケン。「噂で聞いたんだけど…」というとそれがすべて本当になってしまう3、ルーマー。サイキック能力、テレキネシスをもつ4、セアンス。腹部にタコのような触手をもつ6、ホラーは死んで、銅像の姿で列席。ヴァイオリンを弾く以外の能力をもたない7、ヴァーニャは〈アカデミー〉の暴露本を書いて評判を呼ぶが、失踪中。そして、タイムトラベル能力をもち、20年間行方不明だった5が、子供の姿のまま帰ってきた──そして、彼/女らが再会したとたん、遊園地で爆発が起こった!
 しかし、まだ話はこれでも始まりの始まりくらい、さらにアカデミーの執事にあたるチンパンジーのポゴや、ヴァーニャと接触しようとする謎の指揮者を絡め、目まぐるしく物語は展開する。テーマは「愛」(笑)。
 『X‐メン』を下敷きに、まったく独自で堅固な世界を作り上げた原作者は、アメリカのロック・バンド、マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド(ジェラード?)・ウェイ。超カッコいいヴィジュアルを提供しているのはブラジル出身のガブリエル(ゲイブリエル?)・バーで、すでに映画化も決定の由。今のうちに読んでびっくりしとけ!
 帯の「アイズナー賞」も日本じゃスルーだろうが、『ビッグコミック』じゃない方の『スピリッツ』の人なんでヨロシク!
 ひとつ残念なのは、原作者がミュージシャンなのに、スタッフにヴァイオリンのことをよく知っている人がいなかったことかな……。
 あと、日仏同時発売とかいう高浜寛『トゥー・エスプレッソ』、超傑作なので絶対読み逃がさないこと!
(セックスシンボル)







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