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評者◆秋竜山
多すぎる神々、の巻
No.2979 ・ 2010年08月28日




 猛暑の中で、どのような本を読むか。これこそ知性の限界ではあるまいか。「暑くて、本など読めるか」のギリギリのところで氷を頭に乗っけて本とのカクトウみたいなものだ。氷がとけるまでの時間である。高橋昌一郎『知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性』(講談社現代新書、本体七六〇円)で、楽しいのは「神」についてであった。「神」の存在の証明である。「神」は存在する、から面白いのであって、もし「神」は存在しないとしたら、なんとつまらない世の中になってしまうだろう。その点、マンガ家は神をマンガの人物としてマンガの中に登場させてしまった。そして、その神が万国共通のパターンとしての神の姿としての神であると、誰も文句もいわないし、むしろ「そーである!!」と信じているようでもある。マンガの中に神が登場すれば、それを神として受け入れてしまう。そういうところが人間って面白い動物であると思ってしまう。マンガの中で演じられている神の行動に人間は笑う。神はどう受けとめているか。あんがいと「人間は笑う動物であるから、仕方がないさ」と、ゆるしているかもしれない。
 〈大学生C――神の存在を証明することなんてできるんですか?
形而上学者――もちろん、さまざまな証明が試みられていますよ。たとえばね、今あなたはここに存在しているでしょう? あなたがここに存在するためには、あなたの両親が存在しなければならなかったし、そのためには、それぞれの両親が存在しなければならなかったわけで……。
大学生C――つまり、私たちが存在するためには、先祖が存在しなければならないということですか?
形而上学者――そのとおりです。そのまま何世代も何百世代も何千世代も遡っていくと、最初の人類に到達するはずでして……(略)つまり、あらゆる出来事には原因と結果があるわけで、原因がなければ結果は存在しないのです。けれども、この原因を永遠に問い続けることはできません。宇宙がビッグバンで始まったのであれば、そこには原因が存在しなければなりません。その「第一原因」こそが、神なのです。証明終わり……。〉(本書より)
 神とはつまり第一原因者ということになるというのだ。〈「何も存在しなかったところに物理的宇宙を存在させたのは、非物理的な存在でなければならない」〉と、いう。そして、
 〈いずれにしても、第一原因としての神が存在しなければならないと結論する論法です。〉(本書より)
 ハイ!! これで決定、文句を言うな!! で終りとしたいところであるが、「それでは証明になっていない」という反論するものもいたりするから、神の存在とは、ますます面白くなっていくのである。ところで、神は一人なのか、それとも数人であるか。大勢であるか。正確なところを知りたいのであるが、果して形而上学者は、なんと答えるか知りたいものでもある。数えきれない程、神は存在し、人間よりも多かったりするかもしれない。神は全知全能である、という。全知全能とは、どういうものか。それを知るには神に会ってみるしかないだろう。







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