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評者◆伊達政保
被害者意識が臭い過ぎているような気が――東アジア反日武装戦線の一斉逮捕から35年、集会「かごの鳥のうたうもの」
No.2974 ・ 2010年07月17日
東アジア反日武装戦線の一斉逮捕から35年、「かごの鳥のうたうもの」と題した集会が行われた。講演には、共に死刑・重刑攻撃を受けているということからだろうか、元オウム・現アレフ広報部長荒木浩氏。そして、ドイツ文学者池田浩士氏(お懐かしい、オイラ昭和47年序章社刊『似非物語』以来のファン)。パネルディスカッションとして、先の二人に「元・東アジア反日武装戦線さそり」の宇賀神寿一氏、コーディネーターに太田昌国氏という顔触れだ。
東アジア反日武装戦線については、「大地の牙」がオイラの古い友人ということで支援連に若干なりとも関わってきたし、アレフについても世田谷地域での、安全安心街作りなどという欺瞞的な行政対応に反対する立場で関わってきた。しかしねえ、たしかに現在の権力による死刑制度の矢面に立っているとはいえ、被害者意識が臭い過ぎているような気がするのだが。 アレフの荒木氏は、オウムのやった事件については何も知らされなかったし、何も知らなかったとし、組織を引き継いでいる以上は損害賠償の責任は負わなければならないとしていた。しかしオウムの起こした事件の総括は、行われてはいないように思えるのだ。オウムは東アジア反日武装戦線とは異なり、善し悪しは別として国家論を持っていた。その国家論の中には死刑制度(ポアがそうで無いと誰が言い切れるのか)が厳然として存在していたのだ。その上で現在の死刑制度に反対するのであれば、それなりの論理展開が求められると思うのだが、そのようなことには触れようとはしなかった。 東アジア反日武装戦線は連合赤軍とは異なり、党の論理を否定したがゆえ、国家論を持たなかった、いや拒否していたというべきだろう。そして、戦前戦後の日帝植民地主義に対する攻撃を第一義とした。そのことは現在においても忘れてはならないことである。池田氏は、日帝植民地主義と共存共栄してきた自分達自身にも向けられた攻撃であるということをきちんと見つめねばならないと述べていた。オイラ今でも東アジア反日武装戦線の重要性はそこにあると考えている。パネルディスカッションでも、池田氏は「東アジア反日武装戦線もオウムも加害者だと思うべきだ」と発言し、死刑制度に対する被害者意識に偏りがちな参加者に、一石を投じていた。 その後、支援者から獄中被告の近況報告がなされたが、高年齢化に伴なう病気の発症(オイラも同年代、明日は我が身か)や獄中医療の貧弱さに愕然とさせられた。まさか国家権力は多少でも批判を躱すために、死刑執行前の病死を待っているのじゃ無いだろうな。 (評論家) |
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