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評者◆矢野久美子
アレントはなぜ「政治」を求めたのか――日本の政治思想研究におけるアレント論の範型となる二著
ハンナ・アレントの政治理論――アレント論集Ⅰ
川崎修
岩波書店
ハンナ・アレントと現代思想――アレント論集Ⅱ
川崎修
岩波書店
No.2971 ・ 2010年06月26日




 本書は、一九八四年から二〇〇八年にかけてアレント研究の第一人者川崎修氏によって執筆された論稿を集めた、二冊でほぼ六〇〇頁におよぶ本格的な研究書である。論集Ⅰ『ハンナ・アレントの政治理論』は、一九八四年から一九八六年に『国家学会雑誌』に掲載されひろく話題となった論文と、一九九七年の『現代思想』アレント特集号におけるインタヴューから、また論集Ⅱ『ハンナ・アレントと現代思想』は、一九八六年から二〇〇八年までの論考や書評から構成されている。註や引用などで必要となった場合以外には加筆や修正も禁欲しており、個々の論文は、それらをめぐる資料状況や研究状況、著者の問題関心のドキュメントという意味もこめて、その時々の日付のままに提示されている。
 日本におけるアレントの受容事情については本書でも詳しく説明されている。本書の最初の論稿が書かれた一九八四年当時、『全体主義の起原』と『イェルサレムのアイヒマン』以外のすべてのアレントの日本語訳は絶版となっていたか、いまだ翻訳されていなかった。ドイツやアメリカでも、昨今見られるようなアレントへの高い関心はまだほとんど予感できなかった。本書は、そうした環境のなかでアレントに注目した著者の先見の明と、その後の二五年間の軌跡を示している。また、一九九八年に公...







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