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評者◆平井玄
来るべきガタリ――失われた十年を超えて:フェリックス・ガタリ著『アンチ・オイディプス草稿』を読む
アンチ・オイディプス草稿
フェリックス・ガタリ著、ステファン・ナドー編、國分功一郎・千葉雅也訳
No.2968 ・ 2010年06月05日




1.ガタリの何が今も私を惹きつけるのか?
 この本は、一九六九年から七二年にかけてフェリックス・ガタリからジル・ドゥルーズ宛てに書かれた膨大な手紙の中から、編者ステファン・ナドーがテーマにより分類選択して、再構成したものだ。
 六九年六月に初めて顔を合わせると、彼らはほとんど直ちに共同作業を開始する。六八年五月の出来事から一年後である。しかし一〇代の頃から左翼活動に走り、同時に昨日までラカンを師と仰ぐ精神分析医だったガタリはこの種の思想論文スタイルに慣れていない。街頭で躍動する筋肉の瞬発力がそのまま言葉になったような「アクティヴィストの文体」ともいうべきものがたしかにあるだろう。それは単に明日撒くビラのために前夜三〇分で書かれた粗削りな文章というだけではない。文献やデータを精査し推論した仮説を丹念に論証するのではない考察の方法。行動によって創造された一連の「場」に身を曝し、それを語るタームそのものを発明し、一挙に未踏の脈絡を立ち上げる「思考態勢」のようなものだ。
 すでに二〇年以上も運動の中で生きてきて三九歳になっていた彼は、ドゥルーズと会った時もそうした特有の語法で語り続けたと思う。ここでいう「場」とはフィジカルな意味での警察権力や右翼勢力との衝突現場というだけでない。見た...







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