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評者◆藤井誠二
過酷な職場を人間が生きた証――過労死問題に私たちは巻き込まれつつ共犯的である:熊沢誠著『働きすぎに斃れて――過労死・過労自殺の語る労働史』を読む
働きすぎに斃れて――過労死・過労自殺の語る労働史
熊沢誠
No.2967 ・ 2010年05月29日




 鬱を患い投身自殺した医師の遺族をたずねたことがある。勤務医の過密労働の実態はすでに社会問題化してひさしいが、患者を救いたいというつよい意志が逆に自身を過労状態に追い込み、やがて本人の精神をも蝕み、自死に追いこんでいた。遺族の悲痛な思いを聴き私は愕然とした。
 遺族は「過労死裁判」というかたちで故人の遺志を体現していた。亡くなったのはなり手がどんどん減っている小児科医師だったが、過労状態になった医師の診断は誤診率が一気に高まるという事実だけでも、どれほど知られているだろうか。そして結果的に小児科医師は減り、治療を受けられない幼い子供たちが増える。たとえば、そういう循環で過労自殺の問題が私たち自身に降りかかってくることはもっと自覚をされるべきである。
 証券マン、トラック輸送、電気工事、製本工場、サービスエンジニア、営業マン、銀行マン、小学校教員、自治体職員、自動車工場労働者、タクシードライバー、製鉄労働者、造船労働者……本書の目次を追っていくだけでありとあらゆる職種が過労死・過労自殺の現場になっていることがわかる。そして、管理職も非管理職も、ブルーカラーもホワイトカラーも関係ない。熊沢誠氏の長年にわたる詳細な過労死・自殺事例(裁判)のウォッチには頭が下がる思いである。そして故人...







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