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評者◆ベイベー関根
ヤッ○ーマン! コーヒー! ライター!ついでにオマーン国債! さらにはツンデレ!――篠房六郎短編集『新装版 家政婦が黙殺』(本体六〇〇円、講談社KCDX)、篠房六郎『百舌谷さん逆上する 第4巻』(本体六〇〇円、講談社アフタヌーンKC)
No.2965 ・ 2010年05月08日




 な、な、なんだとお~~~ッ~~! わざとらしくどもってみたが、今回に限っては許されよう。なんと、あの名作、篠房六郎の『家政婦が黙殺』が復刊されるというのだ、これをどもらずにいられるか! 本欄では、基本的に復刊はとりあげないことにしてるんだけど、ま、それは手塚治虫とか水木しげるとか楳図かずおとかの話であって、これはまたちょっと別だよな。
 いや~、この連載が始まったときには旧版『家政婦』はとりあげるにはちと遅すぎたんで、次の本が出たらとりあげるつもりでいたら、シノフサ先生、『空談師』とか『ナツノクモ』とかそっち方面に行っちゃうじゃないの! いや、わからんではないが、そーゆー世界観とかでなんとかしようっていう人はまあほかにもいるんだからさ、もっと起爆力の強いものをやってくんないと! と思っていたところ始まったのが、『百舌谷さん逆上する』だった。病としてのツンデレ、という設定から始まって、もちろん策士シノフサだからそんな素直に読者を萌え(ゲー)させたりするわけがないにしても、爆笑と泣かせの間をドリフトしまくる傑作になっているのは、本欄読者なら当然ご存知のことと思う。特に3巻など、もういいようにボロボロ泣かされちまったぜ。シノフサが子供ものが巧いのは『こども生物兵器』のころから知ってはいたが、それにドM、友情、腐女子、親子の愛、巨大な陰謀、など世間ウケしそうな要素を片っ端から放りこみつつ、しかもそれらすべてに強引なツイストをかけて自分の世界に引きずり込む力量たるや、恐るべきものだ。
 まあでもたぶん、その分あんまりフツーの読者にはウケてないんじゃないかという気もするんだよな。文字も多すぎて、読むのにすごい時間かかるし。しかし、そこが面白いんだからしょうがねえだろォ。これでつまんないやつぁオレんとこへ来い!
 といいつつ、『百舌谷さん』を読んで、へえシノフサ面白えじゃんと思ってる人にこそ読んでほしいのが『家政婦が黙殺』だ! シノフサがデビューしたてでまだあんまり仕事がなかったころ、青年誌・成人誌で描いてた作品を集めたものなんだが、いやもうとにかくヒドい! ヒドいというか、素晴らしい! この下ネタとマルチジャンル・パロディと中坊魂の無方向的な炸裂ぶりはまさに感涙ものだ! ただ、せっかく成人誌に掲載されるというのに、エロよりもバカの方が暴走しすぎてとんでもないことになっていることは、今回のタイトルを見てもらっても明らかだろう。本の中身は、てんこのちんこ盛り、おっと股間違いた、ちんこのてんこ盛りで、いわゆる男性読者が喜びそうな女体の描写とかはあんましないのだが、んなこたあこの常軌を逸したテンションと知性溢るる下らなさの前じゃ屁でもねえ!
 ところで、シノフサの自画像キャラは高浜寛に似てる気がするんだが、高浜寛が『凪渡り』で描いたマンガ家はシノフサに似てたりするんだろうか?
(セックスシンボル)







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