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評者◆鴻農映二
二〇一〇年度「現代随筆文学賞」決定!大賞は許世旭、本賞は殷玉珍、趙丁誾、尹淑敬
No.2963 ・ 2010年04月24日
毎年、過去一年間に刊行されたエッセイ集を対象に、その中から優れた成果を選りすぐる「現代随筆文学賞」の2010年度分が発表された。
この賞は、韓国随筆文学振興会(会長、趙漢淑)が主催。1977年からスタートし、大賞には、長老級の、すでに社会的名士として評価の定まった人たちが選ばれてきた(日本では岩波文庫『朝鮮詩集』の訳者として知られる金素雲氏は、第3回の受賞)。 今回の大賞には、中国文学の第一人者、許世旭(ホ・セウク)氏が選ばれた。氏は、本来、文学史、詩の翻訳で尊い業績を残したが、1976年に処女エッセイ集『動く故郷』を刊行、最近は専ら、各種随筆誌のレギュラー執筆者の感が強い。 皆が注目するのは、従って、中堅どころが受賞する本賞の方だ。誰が受賞するのか関心が集中する。 以下、今年の本賞受賞者の横顔と、作品世界を垣間見る。 ・殷玉珍(ウン・オクヂン)。『私は文字を集める』。7年ぶりの第三エッセイ集で、病床に据えたコンピューターのキーボードを、一字一字押しながら、「この作品が最後の作品かもしれない」と思いながら、書き上げた。電源が入り、赤いランプがともるのが、命の暖かさに感じられる。 ・趙丁誾(チョ・ジョンウン)。『それに乗れ』。隔月の『エッセイスト』誌編集長を務める。逆境に開き直る精神で、暗い出来事を素材に使う。従って、話が長くなる。長い話を、「随筆が語り物できたのを、彼女は、見世物として脱皮させようとしている」と評する批評家もいる。 ・尹淑敬(ユン・スッキョン)。『夢路来たりし人』。先に逝った夫と再会するのは夢の中で、時々、夢で出会う夫について記すことが、夫を蘇らせる行為だと信じる。文学を、この世とあの世の溝を埋める手段としている。 (韓国文学) |
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