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評者◆浦雅春
特集エッセイ:辞書・事典と私――辞書には振り回されっぱなし
No.2960 ・ 2010年04月03日




 ぼくは翻訳者として失格なのではないかと思う。あまり紙媒体の辞書を引かないのだ。昔から引かなかったわけではない。あるころから辞書の小さな活字が見えなくなって、辞書を引くのが億劫になってしまったのだ。ならば老眼鏡をかければいいのだが、翻訳の原文をたどって老眼鏡で辞書の文字を追い、訳文を打とうとパソコンのモニターに目を移すと、今度はモニターが見えない。それで今ではもっぱら電子媒体の露露辞書に頼っている。
 それにしても眼鏡をかけないでいると、ときに原文も読めないことがあるから困る。先頃もある翻訳をしていて、「月」にかかる形容詞を見誤ってしまった。ぼくには「青白い月」と読めたのだが、校正が上がって、編集者から「誤訳ではないか」と指摘された。まさかと思いながらもう一度原文をよくよく見ると、「青白い」ではなく「貧しい」月だったのである。ラテン文字に翻字して書くと、「blednyi」が「青白い」、「bednyi」が「貧しい」の意味である。たった一文字あるかないか。しかも「月」と言えば「青白い」のほうが通り相場だろう。いや、思い込みというのは恐ろしい。
 ところで辞書というのは、理解できない言葉や分からない事柄があったときに引くものだ。当たり前の話である。ところが、いくら辞書を引いてもわからないことは...







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