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評者◆米田綱路
福原進監督『太陽と月と』
No.2959 ・ 2010年03月27日




 人権をめぐる思想家たちの格闘がそうであったように、日本国憲法制定の制定過程にはドラマティックな歴史的要素が詰まっている。福原進監督の映画『太陽と月と』は、そんな憲法に秘められた思想的系譜を掘り起こし、現代に浮かび上がらせるドキュメンタリーだ。明治期の自由民権運動から説き起こし、千葉卓三郎や植木枝盛ら民権家たちの草案が、日本国憲法の各条文に結晶化されていることを鮮やかにえがいている。
 福原監督と峯岸和生プロデューサーが力を合わせ、制作実行委員会を設立し、資金調達の困難を乗り越えて完成にこぎつけた。落語家で、映画監督や舞台演出家としても活躍する立川志らくが映画のナビゲーターをつとめ、豊富な資料解説の合間に一席をもうけて、観る者を飽きさせない。さらに、憲法制定に至る知的な営為を膨大な資料渉猟によって跡づけた『日本国憲法制定の系譜』(既刊Ⅰ~Ⅲ、日本評論社)で知られる原秀成氏が総監修を務め、資料的にも深みのある映像に仕上がっている。
 福原監督たちが映画製作を思い立ったのは二〇〇六年、「戦後レジーム」からの脱却を唱えて憲法改正をねらった安倍政権の発足前夜のことだった。歴史認識が弱まる現代の日本社会にあって、どのような制定過程をへて憲法ができあがったのか、その背景を伝えることは喫緊の...







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