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評者◆浜野喬士
ヘーゲルに仮託して語る「治療」の試み――ヘーゲルの時代診断は、われわれが生きる現代という時代の診断へと、ホネットによって二重化されている
自由であることの苦しみ――ヘーゲル『法哲学』の再生
アクセル・ホネット著、島崎隆・明石英人・大河内泰樹・徳地真弥訳
No.2958 ・ 2010年03月20日




 これは哲学に限ったことではないが、あらゆる世俗化されたテクストは、自覚的にであれ無自覚的にであれ、歴史的に先行する、あるいは共時的に並存する隣接諸ジャンルとの間で、自らの属するジャンルを選び取り、ふさわしいフィギュールを採用していく必要に迫られる。
 例えばスピノザであれば、幾何学との連関をつねに念頭に置きつつ、自らの方法と形式を祈りにも似たかたちで採用しなければならなかったのであり、カントであれば独断論と懐疑論の挟撃のなかで「批判」のフィギュールを選びとり、破壊とそれに続く形而上学の再建のための材料と道具の選定をせねばならなかったのであり、サドであれば自らの文化圏の根本を形成する諸価値・諸信念への愛着とその絶対的没落の確実な予感のなかで、偏執狂的な破壊という逆説的な信仰の文体を引き受けなければならなかったのであり、また近年であればスローターダイクのように、自分のテクストの一切を、これまでの哲学史のいわば「偽書」として書き連ねなければならなかった、等々。こうした問題系は、その究極的な書き手、目的、意味、そして名宛人があらかじめ定められた聖なるテクスト――すなわち西洋として同定される歴史的空間的領域においては聖書――には無縁のものである。
 『自由であることの苦しみ』において、ア...







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