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評者◆井上謙治
追悼:J.D.サリンジャー:「若者文学」を超えた洗練のストーリーテラー――生き方を模索する主人公たちに仮託された思い
No.2953 ・ 2010年02月13日




 ジェローム・デイヴィッド・サリンジャーが一月二十七日にニューハンプシャー州コーニッシュの自宅で老衰のため死去した。九十一歳だった。「ハプワース十六・一九二四」(一九六五)以降、作品を発表することはなかったが、有名作家だけにジャーナリズムの話題になることも多かった。去年の七月、スウェーデンの出版社から出たフレデリック・コルティングという作家の『六十年後――ライ麦畑』という小説を『ライ麦畑でつかまえて』の盗作として告発し、勝訴したが、彼ほどプライバシーと自作を守ることに神経を使った作家は他に例がないだろう。
 彼の代表作といえば、なんといっても『ライ麦畑』であろう。この小説が世界中の若い人たちに広く読まれているという事実を考えれば、青春文学の最高傑作の一つといっても過言ではない。『ライ麦畑』が出て間もないころ、サリンジャーは若い人を描くのが好きだと言ったようだが、この小説には、「若者の成長の文学」や「若者の反抗の文学」というような言葉では説明しきれないものがある。『ライ麦畑』はホールデンという十六歳の若者を主人公にしているが、大人の社会への反抗を描いているだけの小説ではない。ホールデンは大人の世界をすべて「まやかし」として否定しているわけではなく、社会の複雑さを認識し、友愛の気持...







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