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評者◆鹿野政直
いまだ銃口が向けられる沖縄――『沖縄戦、米軍占領史を学びなおす――記憶をいかに継承するか』を読む
沖縄戦、米軍占領史を学びなおす――記憶をいかに継承するか
屋嘉比収
No.2952 ・ 2010年02月06日




 時事問題に深く関わりながら、それと折り重なるように、沖縄を軸とする近現代思想史を探究してきた著者の、最初の論文集である。「沖縄戦、米軍占領史を」と括ったところに、両者を繋がれた主題とする主張が込められている。Ⅰ「沖縄戦を学びなおす」、Ⅱ「米軍占領史を学びなおす」の二部から成り、前者に九篇、後者に四篇、計十三篇の論考を収める。
 年表風にいえば、沖縄戦は一九四五年三月から六月(あるいは九月)まで、米軍占領は沖縄戦につづき一九七二年五月までとなる。しかもそれらのもつ語感は、いまなお、いや昨今ではいっそう、なまなましい。と同時に歳月はそれらの言葉を、語られてきたことの宿命として、否応なくパターン化してもきた。そのなかで沖縄戦や米軍占領の体験をいかに受け継いでゆくか、さらにいかにあらたな境域へ高めうるか。「戦後世代」として、著者はそういう課題をみずからに背負わせる。「問いなおす」としてもよい表題を「学びなおす」としたところに、“引き受けねばならない”とする著者の責務感が如実に表れている。
 著者のこのような問題意識は、「はじめに」に端的に語られている。「私たち戦後世代は、非体験者であるにもかかわらず、沖縄に生まれ育ったという〈特権〉により、体験者の体験にもたれかかり、その視線で安易に語...







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