書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆南川文里
「記録に残らない歴史」を紡ぐ――写真という視覚的なコミュニケーション・メディアを介した移民研究の可能性を考える書としても面白い
マブイの往来――ニューカレドニア―日本 引き裂かれた家族と戦争の記憶
津田睦美 文/写真
No.2945 ・ 2009年12月12日




 ニューカレドニア島といえば、映画『天国にいちばん近い島』をはじめとする「楽園」や「リゾート」のイメージで語られることが多い。だが、この島に、20世紀初頭に日本人が移住し、いまも現地に「日系人」が住んでいるということを知る人は少ないだろう。ニューカレドニアの日本人移民の歩みは、南洋の島々を巻き込んだ太平洋戦争によって大きく翻弄された。この島は、戦場にこそならなかったものの、混血の子どもを除く在住日本人は「敵性外国人」として逮捕され、オーストラリアの収容所へと抑留された。戦争終結後、収容された日本人は日本に強制送還され、その後ニューカレドニアに戻った者はわずかであったという。合衆国本土やカナダの日系人・日本人が強制収容されたことはよく知られているが、戦争は、移民たちが必死に築き上げた生活基盤を根底から覆し、その家族を引き裂いた。そして、残された妻や混血の「日系二世」たちは、夫や父親の消息をつかめないまま、戦後を生きることとなった。
 写真作家の著者は、本書を通して、ニューカレドニア日本人の移住の歴史を、1905年に沖縄からニューカレドニアに移住した比嘉伝三の数奇な生涯とその家族の物語を中心に描き出している。すでに島の移民一世全員が他界してしまった現在、その「記録に残らない歴史」...







【今すぐどなたでも読める書評・記事はこちら】
  • 新聞連載(※一部連載を除く)
  • サイト限定連載
  • 読者書評
  • 【現在、図書新聞を定期購読されている方】
    こちらのフォームから「ご契約者のお名前」「郵便番号、ご住所」「メールアドレス」「ID・パスワード新規取得」の旨をご連絡ください。
    【定期購読されていない方】
    定期購読契約が必要です。
    こちらから定期購読のお申し込みをしてください。






    
    リンクサイト
    サイト限定連載
    
    図書新聞出版
      最新刊
    『新宿センチメンタル・ジャーニー』
    『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
    『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
    書店別 週間ベストセラーズ
    ■東京■東京堂書店様調べ
    1位 マチズモを削り取れ
    (武田砂鉄)
    2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
    (山下賢二)
    3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
    (村上春樹)
    ■新潟■萬松堂様調べ
    1位 老いる意味
    (森村誠一)
    2位 老いの福袋
    (樋口恵子)
    3位 もうだまされない
    新型コロナの大誤解
    (西村秀一)

    取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約