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評者◆荻原魚雷
「遊び」に満ちた雑文の集大成――目に見えない様々な呼吸がわかっていないと入れない異界へのいざない
神保町「二階世界」巡り 及ビ其ノ他
坂崎重盛
No.2945 ・ 2009年12月12日




 ときどき神保町、あるいは都内各地の飲み屋で坂崎さんを見かける。
 年齢不詳、大正時代の探偵みたいな風貌。見るからにあやしい。つかみどころがないというか、つかませようとしないかんじがする。
 文学の話も出てきたかとおもえば、「人生のことなら(といっても、まず異性のことでしょうが)本などからではなく、ホラ、あの娘に当たって痛い目に合ってみろ、という塩梅でした」と、軽妙な不真面目さで煙に巻く。「その場、その場の気分、生まれたばかりの未整理の言いまわしや発想を大切にする」
 この本は、そんな「遊び」に満ちた雑文の集大成といえるだろう。
 半村良が出てくる。正岡容が出てくる。吉田健一が出てくる。安藤鶴夫が出てくる。山田風太郎が出てくる。
 神保町の「二階」は迷宮であり、異界である。
 坂崎さんが語る異界は、目に見えない様々な呼吸がわかっていないと入れない。場数をふんだ軽みがあって、はじめて自在に行き来できる、そんな世界。よそ者、素人を簡単には近よらせない雰囲気がただよっている。
 裏通りの入り口でうろうろしている人を見つけると、そっと手まねきして、途中までは連れていくのだが、しばらくすると、知らん顔してどこかへ消えてしまう。
 もちろん、遊び好きであると同時に、筋が通っていること、気...







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