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評者◆早尾貴紀
あらゆる地域や事例にも適用しうる汎用性を備えた分析モデル――差別にたまたま利用されるにすぎない人種や民族やその他のメルクマール
定着者と部外者 コミュニティの社会学
ノルベルト・エリアス/ジョン・L.スコットソン著 大平 章訳
No.2945 ・ 2009年12月12日




 本書の表題は「定着者と部外者」と堅苦しいが(The Established and the Outsidersなので訳語としてはそのとおりだが)、最近より流通している言葉で置き換えれば、ホスト・コミュニティと移住者コミュニティの関係、あるいはさらに、移住者コミュニティのなかのオールドカマーとニューカマーも加えた関係、などと言えばイメージしやすいだろうか。それらのあいだでいかに権力関係が生じ、差別などの社会問題に発展するのか、そのメカニズムを、モデル化をとおして分析したものである。日本でも本格的に移民労働の全面開放が叫ばれている現在、あるいは戦前の植民地支配時代にルーツをもつ特別永住外国籍者(オールドカマー)の数を、戦後移住者(ニューカマー)が上回っている現在、日本語で本書を読むことの意義はきわめて大きい。
 とはいえ、実のところ本書は、『文明化の過程』(一九三九年)で知られる社会学者ノルベルト・エリアスが理論的枠組みを提供し共著者となって、一九六四年に執筆したものであり、およそ半世紀も前の書物になる。その意味では、現在のような国境を越えた大規模な労働移住が世界規模で常態化する以前(あるいはそうした問題が表面化する以前)のものであり、移民労働者との軋轢をテーマ化したものではない。実際、本書がモデルとしている...







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