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評者◆細見和之
批評という行為の可能性に迫る――難解なアドルノ思想への格好の入門書
アドルノ 文学ノート 1
テオドール・W・アドルノ著/三光長治・恒川隆男・前田良三・池田信雄・杉橋陽一訳
アドルノ 文学ノート 2
テオドール・W・アドルノ著/三光長治・高木昌史・圓子修平・恒川隆男・竹峰義和・前田良三・杉橋陽一訳
No.2945 ・ 2009年12月12日




 二巻からなる本書は、ズーアカンプの『アドルノ全集』第十一巻に『文学ノート』というタイトルでまとめられている文学論の、「付録」および「編者注記」を除いた全訳である。元来は『文学ノートⅠ』、『文学ノートⅡ』、『文学ノートⅢ』、『文学ノートⅣ』のタイトルで単行本として刊行された(『文学ノートⅣ』は著者の死後の公刊)。
 いまからじつに三一年前、一九七八年にイザラ書房から『文学ノート』(三光長治ほか訳)と題された翻訳が出されていて、私は学生時代から愛読してきたが、そこに収められていたのはわずかに六篇だった。今回、三五篇にわたる本文の全体がようやく日本語で読めるようになった。八人の研究者による共訳だが、いずれもこなれた手堅い訳文で、訳注も充実している。文字どおり隔世の感がある。
 まずもって本書は、難解なアドルノ思想への格好の入門書の役割を果たしてくれる。ホルクハイマーとの共著『啓蒙の弁証法』(岩波文庫)にしろ、哲学的主著『否定弁証法』(作品社)にしろ、読者に相当の忍耐をもとめるものだ。いちばんとっつきやすい『ミニマ・モラリア』(法政大学出版局)はアフォリズム集だし、アドルノの批評を圧縮した『プリズメン』(ちくま学芸文庫)は扱われている主題があまりに広範にわたっている。本書をつうじて読者...







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