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評者◆新城郁夫
「戦死後」を生きる私たち――問われているのは、私たちの言葉への模索そのものなのではないか
死者たちの戦後誌――沖縄戦跡をめぐる人びとの記憶
北村毅
No.2945 ・ 2009年12月12日




「戦死者の〈その後〉について考える本書の試みは、あくまで彼ら自身に〈その後〉が存在しないという痛覚に裏付けられていなければならない。また、「戦死後」とは、戦争で身近な存在を喪った人びとの歩みでもある」――「あとがき」に見出せるこの言葉に、北村氏の本書における最も大切な動機が示されている。戦争で喪われた「彼ら」(という言葉の問題は紙幅の限定上ここでは措くが……)の「その後」という空白を、「血の犠牲」という殉国イデオロギーで充填していく政治的策動を、沖縄南部戦跡の整備化と戦死者たちの「日本復帰」への動員の過程のなかに見出し、これを検討していくところに、本書の眼目がある。その検討にあたっての北村氏の記述は、豊富な文献資料の読み込みと聞き書きをはじめとするフィールド調査に裏打ちされたものであり、本書全体にわたって強い説得力を持っている。特に、「第1章 さまよえる遺骨――戦死者が「復帰」する場所」では、丹念な分析を踏まえつつ、沖縄戦の後、土地の人々によってそれぞれの地域で弔われ供養されていた遺骨が、「霊域整備事業」という国民国家主義的な戦後処理を通じて、「焼骨と集骨という遺骨の一極管理体制化」(一二七頁)のもとに統制されていく局面が、鮮やかに照射されている。加えて、そうした戦死者たちに対する...







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