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評者◆秋竜山
老化だろうか、の巻
No.2943 ・ 2009年11月28日




 年齢というものは絶対的なものであると思うのだが、年齢より若いですね!! なんて、いわれると、うれしくなるものだ。年齢より老けていますね!! なんて、いわれたりすると、あまりいい気はしないものである。もちろん、見ためのことである。顔のつくりにも大きな原因がある。若い時から年寄りのような顔をしていると、年をとっても年老いたことがわからない、なんていったりするが、それもいいわけというか方便のような気もする。いくつになっても若いといわれるとうれしいのは人情というものだろう。溝口徹『「脳の栄養不足」が老化を早める!』(青春出版社、本体七七〇円)では、老化はトシではなく、脳のせいだという。
 〈そもそも老化とは何かということについて、一応の定義をしておこう。医学的には、「年々歳を重ねていく加齢とともに、身体の臓器の機能が低下して、ホメオスタシスの維持が困難になり、死に至る過程」を老化としている。何やらさっぱりわからない、というのが大半の印象かもしれない。噛み砕いて説明すると、ホメオスタシスというのは生体恒常性のことで、身体の内部や外部に変化が起きても、身体を一定の状態に保とうとする働きのことだ。〉(本書より)
 健康でいるため、生命を維持するための要がホメオスタシスであるのだ。なんと、死よりも怖いのがホメオスタシスなのである。ホメオスタシスの衰えがすすみ、維持できなくなった時、死がおとずれるということだ。知らなかった。ホメオスタシスなんて。そして、本書には〈身体の老化と脳の老化は同じではない〉という項目がある。
 〈老化といったら、「身体の老化」を思い浮かべるだろうか、それとも「脳の老化」を思い浮かべるだろうか。(略)当然ながら、答えには個人差がありそうだ。もちろん、年齢とともに身体も脳も老化する。しかし、老化のタイプが違う。なぜかというと、身体の細胞と脳の細胞には大きな違いがあるからだ。〉〈身体の細胞は、酸素や栄養を血液によって供給されることで、その機能を維持している。(略)血管の老化=身体の老化と考えることができる。〉〈脳の神経細胞自体が減少したとき、脳は衰えていく。つまり、脳の老化とは、神経細胞のネットワークの減少なのである。〉(本書より)
 お年寄りの多い世の中にどんどんなっていく。ということは、つまり、血管の老化者と、脳の神経細胞の減少者が多くなった世の中になってしまうということなのである。で、本書の決めわざとしては〈老化に歯止めをかける「栄養療法」〉ということである。若い者にしてみれば、遠い先の話かもしれない。たしかに、そーかもしれない。「老化に歯止め、だなんて、カンケーねえよ!!」と、いうかもしれない。年寄りの話といったら病気の話ばかりだ。なぜ、病気の話ばかりするのかというと、今を病気で生きているから、身体の機能と脳の機能がピタッとくっついているからだ。それより、なによりも、病気の話ほど面白くて、たのしいものはないからだろう。若い者の話はどうか。若い者が病気とか老化の話ばかりしていては、せっかくの若さがだいなしになってしまうというものだ。







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