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評者◆塚原 史
連続か、切断か――東京藝術大学大学美術館「異界の風景」展のアポリア
No.2939 ・ 2009年10月31日




 現在、上野の東京藝大美術館で開催中の「異界の風景」展(同大油画科主催)は、美術(史)の切断と連続をめぐるアポリアに接近する貴重な機会となっている。一八九六年東京美術学校に設置された西洋画科を前身とする藝大の油画科が、毎年数十倍の難関を突破した画学生が全国から集まる、美術家養成の最難関校であることは言うまでもないが、その油画科の十四名の現役教員たちが、一世紀を超える藝大コレクションを参照項としつつ、彼らの作品を「異界の風景」のテーマで展示している今回の企画は、そうした伝統の連続を前提とした「異界」の創出は、はたして可能かという問いをはらんでいるように思えるからである。
 この難問に接近する前に、展覧会をごく手みじかに概観しておけば、各作家は前述の美術資料から数点を選び、それらと自身の作品を併置するというスタイルを取っている。たとえば、坂口寛敏は江戸期の浦上玉堂の墨画「青松丹壑図」と彼の「パスカルの庭――異界」連作を、斉藤芽生は坂本貫一「五種の寝室図案」(一九三〇年デザイン科卒業制作)と彼女の「晒野団地入居案内」連作をそれぞれ並べて、実行委員長の坂口は「人の生に流れる時間は、(…)果たして途切れることなく連続しているのだろうか。(…)日常の『流れ』を断ち切るということに、芸術は関与...







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