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評者◆米田綱路
追悼・水野忠男氏:詩と詩人の存在に取り組んだ研究者の存在――マヤコフスキイとロシア・アヴァンギャルド、「私の革命」の行方を追ったロシア文学者の仕事
No.2936 ・ 2009年10月10日




 ロシア文学者の水野忠夫氏が亡くなった。突然の訃報に接して、一瞬ことばを失った。というのは、本紙の前号(9月26日号)4面に、水野氏のミハイル・ブルガーコフ『アレクサンドル・プーシキン/バトゥーム――四幕の戯曲』(石原公道訳、群像社)の書評が掲載されているからである。おそらくこれが彼の絶筆となったのではないだろうか。水野氏の『マヤコフスキイ・ノート』(中央公論社、一九七三年)に訳出された、マヤコフスキイがエセーニンの死に際してうたった『セルゲイ・エセーニンに』の詩句が口をついて出た。
 
 きみは去った
  いわゆる
   あの世へ。

 詩人の生よりも、詩人の死の方にリアリティを感じるといったのはブロツキーである。水野氏の死に際し、彼の本によって触れた詩人とその詩をとおして、その仕事をふりかえりながら、彼の死を悼むことも許されよう。
 水野氏は本紙への書評で、ブルガーコフの二つの戯曲が、いずれも主人公を英雄としないものであることに、最晩年のブルガーコフの演劇観と、きびしい時代精神に対する鋭い批評意識が表現されていると指摘した。つまり『アレクサンドル・プーシキン』では、全幕に詩人の詩が鳴り響き、権力と上流社会から追放された詩人の悲劇がうきぼりにされるが、プーシキン本人は一度も舞...







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