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評者◆鴻農映二
ノーベル文学賞の獲れない構造(最終回)――なんだか、まだ李朝時代にいるような気がする
No.2935 ・ 2009年09月26日




 ここ迄、いいたくないが、やはり、とどめを刺しておいたほうがよかろう。
 俗に、「基本がなっていない」という指摘は、体育の練習のときに使われる。しかし、韓国では、精神面、常識の有無などについて、使用されることが多い。以下、そうした例。

・ある詩人が、少し年輩の女流詩人から、作品をほめられた。カネまでもらった。「御祝儀かな?……」しばらくして、女流詩人の詩集が届いた。そこに、雑誌に載った自分の詩が、彼女の作として、そっくり掲載(盗用)されていた。
・漢方医が、伝統ある随筆団体のトップに就任した。会員は、カネとヒマのある御婦人たちだ。かれは、なんとかかんとか、理由をつけて、女性会員に麻酔薬を注射し、強姦した。その数、……人。うち、二人から訴えられ、慰謝料を払った挙句、会長職を辞任した。
・小説家協会の会長は、国からの協会への助成金を流用し、しばらく、塀の中に入っていた。「会長、まだ出てこないの?」「うんっ」。この当事者はいまは故人で、別の人間が現在、トップに就いている。
・「君、ちょいと、わしの詩、訳してくれんかのお……」。日本に長年住み、大学院まで終えた先生が、依頼してきた。「直訳は困るよ、意訳でなきゃあ」。実は、韓国語と日本語は同系統の言語で、並べ方はほとんど変わらない。意訳の仕様がない。「なんだ、直訳じゃないか。あれほど、意訳してくれって頼んだのに」。この人は、自分が訳したことにして、作品を発表した(一流の人間は、ネイティブ・スピーカーを尊重して、こんなインチキは行なわない)。

 悪いことに寛容すぎる。そのくせ、合理的な判断に、やれ上下のしめしがつかないとかで頑固に抵抗する。私はなんだか、まだ李朝時代にいるような気がする。
(韓国文学)







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