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評者◆鴻農映二
ノーベル文学賞の獲れない構造(3)唾棄すべき連中がチンピラのように、のさばっている
No.2932 ・ 2009年09月05日




 ちと、くどいが、もう一度、レポートする。韓国は、とにかく、儒教の優等生で、そのしがらみが根深く残っている。目上の者には、絶対服従、失敗ともみなせないヘマをしても叱られる一方で、抗弁すると、頭を叩かれる。私の場合、外国人だから、そういう目にはあわないが、文壇の癌細胞のような輩に、足を払われ、転ぶことはある。
 ある文芸誌から原稿を依頼された。稿料は期待できないので、後回しにしていた。すると、文壇行事の撮影で生計を営んでいるカメラマンが、メッセンジャーとしてやってきた。「原稿料、払うそうだから、早く仕上げて、送りなよ!」。早速、書いて送った。掲載された。入金されない。文句をいうと、「お前、俺から直かに稿料、払うって話、聞いたか? カメラマンから聞いた? それじゃあダメだな」。こういう調子だ。かれは文人協会の理事で、怒った私は、文人協会に駆け込み、こんな奴、除名できないのか? ときいた。返事は、「それ位のことで、何を騒ぐのか?」だった。
 もう一件、ある。校正料、払うから目を通してくれと頼まれた。一日半かかって、小説三編、戯曲一編と、その解説に赤を入れた。郵送して連絡を待った。一週間後、連絡があった。「おまえ、こんな好い加減な校正するのか?」頭ごなしの叱責だ。判断保留した部分だった。しまった! と思った。相手は、最初から難癖をつけて、校正代を払わないつもりだったのだ。まんまと引っかかり、貴重な時間を奪われた。おそらく、このことを文人協会に訴えても、「その位のことで、何を騒ぐのか?」で片付けられるにちがいない。
 私が何よりも腹の立つのは、文学にいそしむ者が、その夢と働き甲斐を、こうした出来事で損われることだ。報酬を受けとれないことより何倍も打撃を受ける。かつては、この国の文学者は貧しくても人格者が多かった。いまは違う。唾棄すべき連中がチンピラのように、のさばっている。
(韓国文学)







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