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評者◆小熊英二
「あの時代」の脱神話化――〈一九六八年〉の現代的意味は再び私たちのまえに投げ出される
1968(上)――若者たちの叛乱とその背景
小熊英二
1968(下)――叛乱の終焉とその遺産
小熊英二
No.2932 ・ 2009年09月05日




 貧困と格差が社会を二分化し、二〇世紀後半の日本において社会批判の有効性を保っていた「一九七〇年パラダイム」がついに失効したと考えるとき、そのパラダイムを規定した〈一九六八年〉を、根本的な批判の対象とすることは時宜にかなっている。大学での学費値上げ闘争からバリケード闘争、街頭闘争、そして武装闘争論の席捲、連合赤軍事件を契機とした新左翼運動の退潮と、一九七〇年「七・七華青闘(華僑青年闘争委員会)告発」を経て、〝主体を問う〟という問題意識を継続させた反差別闘争への横滑り。実際の政治力量からいえば「革命」には到底おぼつかない新左翼諸党派と学内改革がせいいっぱいであったはずの全共闘。そして「政治の季節」のあと政治舞台から退場した全共闘世代と、他方でその世代がエージェントと化した大衆消費社会。
 〈一九六八年〉の叛乱の「自己否定」と「世界革命」は壮大な幻想たりえたが、それを担った若者たちを動かしていた衝動は、貧困という「近代的不幸」とは区別されると著者はいう。それは、発展途上国社会型の社会が、急速に高度成長期に直面した「集団摩擦」であり、アイデンティティ・クライシス、「自分探し」、あるいは言語化しにくい「現代的不幸」にあったと。その意味で、日本の〈一九六八年〉は日本固有の現象であったと...







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