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評者◆藤井誠二
ドライながらも実践の書――限られた時間の中で裁判員は最大限、何ができるのかを教えてくれる
裁判員の教科書
橋爪大三郎
No.2931 ・ 2009年08月29日




 とてもドライな提言の書だ。一読して、そう思った。著者が指摘する裁判員制度の問題点や、制度に期待する理由についてはさほどの目新しさは感じられないのだが、ともかく始まるものは始まるのだから受け入れよう、そして裁判員とは何をするべき役割なのかを考えようという最初から最後までわかりやすく呼びかけ続けているところが潔く、ぼくがドライに感じた所以だろう。いまからでも裁判員制度を潰せという非現実的な主張も少なくない中で貴重な提言といえる。
 『裁判員の教科書』はその名が示すように、近代刑法のイロハから書き起こしている。裁判員にも審理が始まる前に「推定無罪の原則」等について短い時間だが説明がなされるというが、この本の大半もじつは刑事裁判とはなんであるかという原理原則と裁判員制度との関わりについての解説に割かれている。そういう意味では刑法の入門書のようだ。
 だから、法廷における犯罪被害者の発言についてもドライになる。〔被害者の発言は、刑事裁判のゲームと関係ない。よって、それを無視するのが正しい。無視、するとは、その発言はなかったものにすること。判決を下す場合に、その発言に左右されないということ〕で、〔日本国憲法の定める公平・公正な裁判にたずさわる、裁判員の義務〕とまで著者は言い切るのだ。
...







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