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評者◆編集部
こどもの本棚
No.2927 ・ 2009年07月25日




○本のこどもが訪ねるいろんな本の物語
▼ほんちゃん ▼スギヤマカナヨ 作
 ほんちゃんは、本の国にすんでいる、本のこどもです。そんな、ほんちゃんの物語がはじまります。
 まずあさ起きたら、ほんちゃんは表紙をひらいてぱらぱらたいそう。学校のじゅぎょうでは、びしょびしょにならないよう、びりびりやぶられないよう、べたべたくしゃくしゃにされないように、だいじなことを勉強します。あかちゃんには要注意です。それから、本屋さんや図書館、古本屋さんにでかけていって、いろんな本のおはなしを聞きます。
 本は外見だけではなく、中身もたいせつ。さしえやぶんしょうを入れたり、そしておしゃれに気をくばりながら、カバーという服をきせてもらいます。ほそい紙はオビですね。おかあさんはぼくに、「りっぱな図鑑になりなさい」といいます。ぼくは、かっこいい本になりたい。だから修行にいきました。
 あかちゃんにしゃぶられて、かみちぎられても、ママさんはじまんなんだって。それだけ本をきにいってくれたしるしだから。絵がすくなくても、おじいちゃんとむすこさん、そのまたむすこさんに読まれてきた本は、とてもすてき。
 ほんちゃんは、いったいじぶんがどんな本になりたいのか、いろいろかんがえます。だいじにされる本になりたい。『ほんちゃん』だって、おもしろそう! そんなふうに手にとってもらえる本が生まれます。(6月刊、26×19 34頁・本体一〇〇〇円・偕成社)

○こどものために彫ったひつじのおもちゃの話
▼3びきめのひつじ ▼ひろのみずえ 再話/広野多珂子 絵
 むかしむかし、アルプスの村には、きぼりしょくにんがたくさん暮らしていました。なかでもドリッテはいちばんで、ひとびとがマリアさまや聖人のぞうをたのみにきます。ドリッテはこどものために、ひつじのおもちゃをほりました。その1ひきめは、あかんぼうをおぶったおんなのこにあげてしまいました。またほりましたが、2ひきめは、おとうさんとおかあさんを亡くしたおとこのこにあげました。
 3びきめのひつじは、すばらしいできばえでした。ところが、さいしょのおとこのこはつぎの日になっても、またつぎの日もあらわれませんでした。冬がきたころ、商人がやってきて、そのひつじを売ってほしいといいました。でも、ドリッテはうろうとしません。そして教会にいくと、おかねもちのいえのひとりっこマルテが、ドリッテのほったひつじを気に入ったというのです。
 ドリッテは3びきめのひつじをだいて、こどものところに行きました。かえりはふぶきになってしまいましたが、そのときイエスさまがあらわれて、こどものためにおもちゃを彫ることが、どれほどかみさまをよろこばせるか、こどものわらいごえはなによりもうつくしくひびくと、ドリッテにつたえました。
 こうして、きぼりしょくにんたちは、おもちゃをほるようになったのです。むらのひとたちは、クリスマスになると、このすてきなはなしをおもいだします。(10月刊、26×24 34頁・本体一二〇〇円・女子パウロ会)

○ぼくをよんだのはだれ?
いのちのふしぎ
▼おいで、フクマル ▼くどうなおこ 作/ほてはまたかし 絵
 なまえはフクマル。あるひあるとき、「おーい、おいで」とだれかによばれて、ぼくはこのせかいにでてきた。ぼくをよんでくれたのは、いったいだれなんだろう?
 ぼくをだいてうちにつれてきてくれたのは、おとうさん。しっかりだいてくれたのは、おかあさん。でも、いったいだれがぼくをよんでくれたんだろう?
 ちょうちょうがとんでいる。ありんこがあるいている。あ、ことりだ。みつばちもとんでる。そよかぜがふいてくる。わたぐもがそらいっぱい。ぼくをよんでくれたのは、きみたちかい? あ、おねえちゃんだ。ふうせんごっこ、ぼくはだいすき。きっとおねえちゃんがよんでくれたんだ。
 ぼくはうまれてきて、みんなにたくさんであったし、たくさんあそんだ。ちょっとここらでひとやすみ。ねそべると、まるでちきゅうにだっこされてるみたい。せなかにはおひさまがあたってポカポカ。おひさまにつつまれてるみたいだ。
 みんな、あそぼう! きょうも、そしていつまでも。そしてぼくはわかったんだ。あるひあるとき、「おーい、おいで」とぼくをよんでくれたのがだれかっていうことが。
 ぼくをよんでくれたのは、みんな、そうあなたたちだったんだ。あえてよかった。みんなにあえてよかった。いのちのふしぎをみつめるフクマルの物語。(6月刊、28×25 26頁・本体一四〇〇円・小峰書店)

○移り気でおちゃめなフンガくんの奮闘記
▼あわてんぼフンガくん ▼国松エリカ
 フンガくんはボールさがし。おにいちゃんたちとキャッチボールをしたんだけど、フンガくんはちっともとれません。ボールさがしをしてばかりです。それに、とっても移り気。おんなのこたちがやってきて、バトミントンをはじめると、フンガくんはボールさがしはどこへやら、「ぼくもバトミントンする~」となかまいり。ところが、バトミントンのはねもなくしてしまいました。みんなではねをさがしていると、こんどはブースケくんが、スーバーボールをつきながら、やってきました。するとフンガくんは、またまたはねさがしもなげだして、スーパーボールにむちゅうです。そうしたら、スーパーボールまでなくしてしまったんです。
 さて、みんなでボールとはね、スーパーボールのだいそうさくがはじまりました。「はっけーん!」。みんなでいっしょにさがしたかいもあって、ぜんぶみつけることができました。ところが、あれ? フンガくんはなにをしてるの?
 「みて! おたまじゃくしをみつけたよ!」。なんとフンガくんは、さがしものもそっちのけで、池のおたまじゃくしにむちゅうになっていたのでした。
 こんなぐあいにフンガくんの物語がはじまります。あわてんぼうのフンガくんがくりひろげる、五つのおはなし。(4月刊、27×25 四八頁・本体一三〇〇円・小学館)

○雨の日も風の日も島を回るなみこさん
▼島のゆうびんやさん ▼石津ちひろ 文/竹内通雅 絵 しまのゆうびんやのなみこさんは、いちにちいちどは、しまをぐるっとひとまわりします。朝はおおいそぎでみなとへむかい、着いたふねにしまのゆうびんぶつを渡し、しまにやってきたものをうけとります。そしてはいたつにしゅっぱつ。しまのみんながまっています。きょうはさいわい、いいてんき。ぬけるようなあおぞらです。せっせとおてがみやしんぶん、こづつみなどをくばります。
 なみこさんはあちこちで、しまのみんなからよびとめられます。かわりにおてがみをかくことだってあるんですよ。しまのみんなは、なみこさんがくるのを、いまか、いまかとまっています。おてがみだけがそのりゆうではありません。みんな、なみこさんのえがおをまっているんです。
 そんなみんなのきもちを、なみこさんはしっています。だから、あめの日もかぜの日も、かみなりの日だって、しまをまわります。はいたつがおわったら、ようやくほっとひといき。はまべでゆうひをながめながら、くつろぐなみこさん。そしてまた、あたらしいいちにちがはじまります。(4月刊、28×21 32頁・本体一三〇〇円・理論社)







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