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評者◆鴻農映二
金采媛の『崔承姫の踊り』――これ迄、知られなかった部分を大幅に補充
No.2923 ・ 2009年06月27日




 過去、二度にわたり、「朝鮮の舞姫、崔承姫」について本紙に執筆した。今回は、彼女のついての、労作といえる成果、金采媛の『崔承姫の踊り――継承と変容』(民俗院、ソウル)について採り上げようかと思う。
 なぜ、しつこく、崔承姫なのかというと、川端康成との結びつきが、普通以上に濃いからだ。川端が崔承姫の後援会員となった年に、かれは、『雪国』の一部を文芸誌に発表している。そして、その主人公、島村の肩書きは、なんと、「舞踊評論家」なのである。
 このことに気づいた先達は他にもいて、兪載信の論文「川端文学における舞踊の世界」(日本研究第26集 2009.2.韓国・中央大学日本研究所)に詳しく報告されている。それによると、川端は早い段階から舞踊に関心をもち、作品内に登場する舞踊関連の記述も相当数になるという。いわば、川端と崔承姫は、出会うべくして出会ったということになろう――。
 さて、その辺の深い追究は後日にゆだねるとして、舞踊評論家、金泰源の書評によると、金采媛の著作の意義は、次の部分だという。「これまで、崔承姫について、伝記的研究、影響史的研究、フェミニズム的研究はなされてきたが、本質的な研究が欠けていた。本書は、その相当部分をカバーしている」、「北朝鮮の現代舞踊の源泉が、崔承姫の教育にあったことを、いろいろな資料を通し、証明している」、「筆者自身、踊り手なので、その経験がよく反映されており、崔承姫舞踊の変貌する様子がとても具体的かつ一目瞭然に描かれている」などなど。
 私も、早速、大枚2万2000ウォンをはたいて、一冊、購入しようとした。すると、「まあまあ、待って。版元から一冊、取り寄せます」と、金泰源氏がもらってくれた。豊富な写真、分析の図表、詳しい年表、動きの要素配分表など、盛り沢山なデータが載っている。なお、本書は、お茶の水女子大の博士論文が基になっているので、日本語でも読める(お茶大に行けば)。
(韓国文学)







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