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評者◆鴻農映二
本当に厳格な文芸誌、「エッセー文学」――韓国でいま、唯一、信頼に値する雑誌
No.2915 ・ 2009年04月25日




 季刊「エッセー文学」春号に、やっと、拙文が載った。やっとというのは、これ迄、二度も原稿が突き返されたからだ。一度目は、三島由紀夫「サド侯爵夫人」を紹介した文章、二度目は、「翻訳のストレス」だった。前者は、突き返された翌日、他の雑誌に持ち込んだところ、すぐ採用された。稿料もしっかり貰った。後者は、書き上げたときは、自信があったが、読み直すと、これは違うと思った。そして三度目の挑戦。題は、「私の韓国文壇遠征記」、外国人として初めて、韓国文壇に乗り込んだときの話だ。最近、日本では、ゾペティ氏や楊 さんが活躍しているが、私も、ハングルで書いた評論で、1982年に批評家デビューした。以来、書いてきた原稿の九割は、そのまま採用されている。直しが入っても、「エッ、直す部分、こんなに少ないの?」と驚くほどだった。なにしろ、私はネイティブ・スピーカーではないのだ。最後の一線で自信がない。英語でデビューしたヨネ・ノグチも、結局、その一線で兜を脱いだではないか。
 主幹の尹 江氏は、学生の頃から、教師の間違いを指摘する“うるさ型”だったとか。そこを、ようようクリアーしたと思ったら、今度は総務課長兼副編集長の金潤貞女史が噛みついてきた。約七個所の助詞や、尻尾の部分、こうした方がよいのでは? というのだ。全面降伏するしかない。
 だが、また、最後の最後に、尹 江主幹が、題名がちょっと変だとクレームをつけてきた。韓国に住んでいるのに“遠征”はないだろうというのだろう。しかし、ここは持ちこたえた。自分の実感としては、遠くの地まで出かけてゆき、戦った記憶が譲れないほど強いのだ。
 この「エッセー文学」誌は、雑誌が出てからも反省会を持つ。表紙のデザイン、色校正、企画の成否。韓国でいま、唯一、信頼に値する雑誌だ。







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