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評者◆ベイベー関根
チェ・ゲバラ vs. ウォッチメン。意味はあるようなないような。
No.2914 ・ 2009年04月18日




アラン・ムーア&デイヴ・ギボンズ『ウォッチメン』(本体三四〇〇円、小学館集英社プロダクション)

 ついに出たね、山上たつひこ『中春こまわり君』が!
喜んでる人の顔も目に浮かぶが、それよりも当連載では、いがらしみきお『かむろば村へ』4巻が出て完結したことの方が大事だという立場をとる!
 と、誰にいってるのかはよくわからないが、こないだ夜更けに、近所の24時間営業してる某有名ハンバーガー・チェーン店に入ったら、チェ・ゲバラの映画の20秒のスポットCMが延々と流され続けるんで、気が狂いそうになったよ。あからさまに長居対策なわけだけど、恐ろしいことを考えつくやつが世の中にはいるもんだと思ったね。
 さて、そのチェ・ゲバラだが、『グラフィック・バイオグラフィ チェ・ゲバラ』なる本が出ているので、とりあえず立ち読みしといてほしい。なぜかというと、この本は、ロバート・クラムとかと並んでアメリカン・アンダーグラウンド・コミックスの創成期の立役者のひとりだったスペイン・ロドリゲスの本邦初の(泣)翻訳だからだ! しかも、これが68歳で発表した新作なんだからまたスゴい、枯れてないねー。内容はチェ・ゲバラの伝記ということで詳細は省略。まあ、著者の名前でこの本を買う人はまずいないと思うんだけど、当連載ではそこが重要! ということで。あと、映画もよろしく。
 さて、映画つながりという名目で次に進もう。アンダーグラウンド・コミックスとは違ったかたちで現在のアメリカン・コミックスに不可逆的な影響を与えたマンガの映画化作品がそろそろ日本で公開される。そう、『ウォッチメン』だ!
 アラン・ムーア&デイヴ・ギボンズによる世界コミック史のベストテンに入ってもおかしくないこの超重要作について、あらためて紹介しなくちゃいけないのもまた情けないが、いちおう説明しておくと、これはスーパーヒーローものというアメコミを代表するジャンルそのものを脱構築(苦笑)し、政治的に再検討を加えてみせた作品なんだな! ストーリーは複雑すぎるので省略(笑)。スーパーヒーローという存在が、つまりはアメリカのもつ「力」が、どのように機能し、どのように腐敗するのかを見事に描いたこの作品で原作を担当したアラン・ムーアが、本作でいちやくトップ作家の仲間入りを果たしたのも、けだし当然か。
 実はこの本、1998年にも一度翻訳で出てるんだけど、一部の好事家にしか行き渡らないうちに品切れになってしまい、今やヤフオクとかでは相当な高値で取引されているのだが、このほど映画化に伴い、全ページ再カラリングに豪華付録付きで復刊されるというのだ! これを買わなきゃ男がすたる! マンガ好きを自称してても、これを読んでないんじゃ世界では通用しねえぜ、坊ちゃん嬢ちゃん! あと、映画もよろしく。
 ついでに、近代漫画の文法の基礎を築いたとされるロドルフ・テプフェール『M.ヴィユ・ボワ』も通販で入手可となったので、これも是非読んでみて!
(セックスシンボル)








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