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評者◆前田和男
連合会長・山岸の「親書」
No.2914 ・ 2009年04月18日




(前略)この数年の政治動向をみるに、さまざまな条件が重なって、選挙制度を中心とする政治改革を実現するとともに、政権交替を可能にするための政治勢力の結集の仕方が、この数か月で緊急の課題となる状況にあります。
 私も微力ながら、政権交替を可能とするための新しい勢力を結集するために努力してまいりましたが、今一歩この方向を推進するための活動が不可欠であると存じます。
 私自身が改革派と呼ばれる代表的な政治家と会談したり、各種の資料などによってそれらの人々の意見を検討したところでは、自民党、社会党といった既成の政党間で政権交替をはかるというのはもはや非現実的であり、自社両党がセットになった五五年体制そのものを打ち破るために、政界再編成をともなった政権交替勢力の集結が必要である、という点で大きな一致があるように存じます。
 また、政権交替のための政策面では、
 まず緊急の課題である選挙制度改革では、中選挙区制を廃止することでは基本的な一致点があります。
 そのあとに導入する選挙制度としては、私自身は、民意を正確に反映する可能性の高い小選挙区比例代表併用制が望ましいと考えますが、実現の可能性を考慮に入れれば、これに単純小選挙区制を加味した連用制を基にした案も、各党が一致できれば、現状よりはるかに適切で、政治腐敗を除去する制度の確立を含めて、政治改革に大きな一歩を記することになると存じます。
 要は、こうした政治改革への重要な第一歩を速やかに出発させるということであり、改革諸グループには、この点で大きな一致点があるように存じます。
 さらに、当面の政策上の重点についての基本的な立場においても、
一、PKOなど当面する国際貢献問題では、国連のイニシアティブの下に積極的な国際貢献の立場をとり、人的な協力では自衛隊と別組織の国際協力組織の創設を検討する。
二、地方主権の立場にたち、分権を大胆にすすめる。
三、必要な緊急景気対策を推進するとともに、高齢化の進展、環境問題等を視点に、生活者主権の立場にたった経済・社会政策をすすめ、安定的な経済成長軌道を回復する。
 の三点で、総論的には大きな一致点があると思います。
 このような一致があれば、さらに詳細は政策体系を論議していく基盤は十分存在すると私は思います。
 しかし、情勢の認識と政策面での大きな一致にもかかわらず、政権交替勢力の結集はなお、言葉の段階にとどまっているといわざるをえません。
 その理由は、個々の改革派の政治家やグループを大きく結集していくための軸が形成されていないからであると思います。逆にいえば、このような軸が出来さえすれば、事態は一挙に進展する可能性があると私は考えます。
 そこで、このような軸になり得るものは、それぞれの地域において政治的な責任を過去あるいは現在もお持ちになっていることの重みがある上に、いわば道・県民党的な立場を貫かれて道・県民の政治的な信頼を得てこられた、現・旧知事の有志のみなさんにお集まり頂き、政権交替可能な状況に向けて、右のような政策的な内容をふくむ、共同の提言をまとめて頂くことではないか、という結論に達しました。
 同時に、重要なことは、このような方法をとることによって、政党や政治グループの話し合いがしばしば陥る「小異」での対立を避けることが出来ます。多くの改革派のグループが、現・旧知事グループのみなさんの共同提言を支持して討議のための共同のテーブルにつくという道が開けるからであります。
 このような、現・旧知事有志グループによる共同提言を是非行って頂きたい、というのが私のお願いの趣旨であります。
 私自身は、このような有志の現・旧知事グループによる共同提言が実現し、政権交替勢力の結集に大きな一歩を踏み出すために、最大限の努力をしていくつもりであります。
 例えば、労働組合や市民団体を中心に、「現・旧知事有志の提言を実現する会」(仮称)といったものを直ちに結成して、その趣旨の推進を図りたいと考えております。
 何卒、千載一遇ともいうべき現在の好機を活用して頂いて、保守・革新といった従来の区分を越えて、「政治後進国日本」の名を返上するという政治的な目標にご賛同頂き、お力をお貸し下さるよう、伏してお願い申し上げます。
敬具

一九九三年五月吉日
連合会長 山岸章







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