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評者◆秋竜山
なんぼのもんじゃ、ワレ!、の巻
No.2913 ・ 2009年04月11日
書店に忘れさられてしまったかのように置かれてある本。すぐ引っこめられてしまった本と、どっちがしあわせだろうか。どっちもしあわせではない、というべきか。息長く並べられてあり、奥付けはかなり古い。今にみていろ!! という期待感を持たれている本をみると、ガンバレよー!! と、声をかけたくもなってくる。「ハイ!! 自分は、ガンバリます」と、答えているようである。自分といえば、〈「自分」とはオレのことか、おまえのことか?〉という項目がある本があった。日本博学倶楽部『徹底比較!関東人と関西人――性格から衣食住の好みまで』(PHP文庫、本体四九五円)。奥付けをみると、〈二〇〇五年四月〉とあるから、かなり、がんばっていた本であることがわかる。そんなことよりも、「自分」という言葉について、である。
〈「自分」というのは本来書き言葉で、日常会話で使うことはあまりないが、例えば体育会系の部活動をしている人は、「自分がやります」とか、「自分はこのチームの主将です」など、「自分」を一人称として使っている。これは体力自慢の男性が、自分のことを「ボク」などと呼ぶのは女々しいといわれた、徴兵制があった時代の軍隊用語に由来するとされる。〉(本書より) 男がいうには問題がないように思えるが、女がいったら、男らしい女ということになるのだろうか。やたらと、「自分が……」を連発するヤクザ映画があったが、「あっしが……」より今風かな。 〈ところが、関西で「自分」というと二人称、つまり相手を指している。「自分」は、少しガラが悪くなると「ワレ」になる。ヤクザ映画などでは頻繁に使われているので、こちらのほうがなじみのある人も多いだろう。しかし、「ワレ」も漢字にすると「我」であり、もともとは一人称である。〉(本書より) 関西で「自分」というと二人称、つまり相手を指している。と、指摘しているが、関東でも(私がそーだ)自分というと相手を指していたりする。「お前がやれ」というのを「自分がやれ」とか「自分でやれ」とか。相手に、「自分が悪いんだ」という。「お前が悪いんだ」ということになる。「自分によーく聞いてみろ」なんて相手にいったりする。「私がやりました」ということを「自分がやりました」といったりする。「ワレ」というのを関西のものとは思われなかったようだ。「お前」のことを「ワレ」といった。自分のことを「ワレ」とはいわなかったように思う。 〈関東で、日常会話で二人称に使われることがあるのは、一人称でなく三人称の言葉だ。その最たる例は、ナンパの際の「彼女、お茶しない?」というセリフだろう。〉(本書より) もし、関東でつかっていたらどうなるか。と、いう言葉があるが、 〈大阪人は「おっさん」「おっちゃん」や「おばはん」が口ぐせになっている。「八百屋のおっさん」「隣のおっちゃん」など、東京では考えられないほど、ほとんど面識のない人にも親しみを込める。〉(本書より) 関西人がよくつかう「アホ」。それはテレビなどでよく観るのであって、実際に関西人が連発しているのを聞く機会があまりない。自分がいわれたら、どのような感情がわくかいわれてみたいものだ。 |
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