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評者◆菅野正人
勇気の香煙が立ち昇る――花に重ねるさまざまな人生がある。別れた人との再会は、はかないものだ。
勇気をもらった日
菅野正人 監修、日本随筆家協会 編
日本随筆家協会
No.2910 ・ 2009年03月21日




 日本随筆家協会から出版される書籍のなかに、毎年、心待ちにしているものがある。それは、「新鋭随筆家傑作撰」である。新進気鋭の作家諸氏が、精魂こめて仕事をした随筆集で、読み始めると、絶対に目が離せない。作者一人一人の息遣いを逃がしてしまうからだ。
 平成二十年(2008年)度は、『勇気をもらった日』が世に出た。
 小さな勇気から大きな勇気まで、いろいろな形の勇気を得て、内に滾る情熱を燃やした人、また人生の転機となった人など、さまざまな人生体験から編まれた随筆集だ。まさに、勇気の香煙が立ち昇るごとく、読者の心を豊かにしてくれる。
 この傑作撰の中から、何編か紹介してみる。

 『爽春の昼下がり』(田口兵)は、日ごろの雑事から、しばし逃がれて散歩に出るところから始まる。近所の霊園には、老いの疲れを癒してくれる春の日ざしが輝いていた。
 お墓に眠っている人とは無縁だが、苦節七十七年の歳月を織った人生の布切れを陽にかざしてみると、そこには、千の風になった人たちの魂と自分の行く末が重なった。しかし、緑の草原に腹ばいになると、新しい人生の息吹きが吹き込んでくるような気がした――。
 感傷を捨て、勇気の湧く巧みな描写は、万感胸に迫るものがある。
 霊園の和みはいつになく作者の心をも穏やかにして...







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