書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆山井悟
「歴史」への眺望という意図――生き生きと描かれる登場人物たち
七日市藩和蘭薬記
たなか踏基
No.2910 ・ 2009年03月21日




 本書は、時代小説という装いを持っているものの、「歴史」への眺望といった意図を内在させた読物として読むことができる。当然のことなのかもしれないが、まったくの虚構の人物像を描くとしても、小説としてのリアリティを持たせるためには、背景となる時代や情況が、根拠のない荒唐無稽なものであってはならないし、小説が創作であるとしても、リアリティのないものに思われてしまえば、それは読者の視線から遊離したものになってしまうことになる。そのことは、現代小説といった意匠を持ったものであっても、もちろん時代小説であっても同じことだといえるはずだ。わたしは、特に実在の人物に焦点をあてながら幕末の動乱期をダイナミックに描いた司馬遼太郎の作品には、あまり好感を持った覚えがない。むしろ、中級・下級武士に焦点をあてながら、まるで現代小説のような雰囲気を醸し出す藤沢周平作品を好んで読んできた。だからというわけではないが、本書の主人公像には、直ぐ共感を持って入り込むことができたし、「歴史」への確かな検証と仔細な分析を背景に、登場人物たちを生き生きと描いていることになによりも、好感を持ったといえる。時代は一八世紀から幕末期へと向かう動乱直前の頃のことである。金沢を城下とした百万石の大藩、加賀藩が主とした舞台だ。ここ...







【今すぐどなたでも読める書評・記事はこちら】
  • 新聞連載(※一部連載を除く)
  • サイト限定連載
  • 読者書評
  • 【現在、図書新聞を定期購読されている方】
    こちらのフォームから「ご契約者のお名前」「郵便番号、ご住所」「メールアドレス」「ID・パスワード新規取得」の旨をご連絡ください。
    【定期購読されていない方】
    定期購読契約が必要です。
    こちらから定期購読のお申し込みをしてください。






    
    リンクサイト
    サイト限定連載
    
    図書新聞出版
      最新刊
    『新宿センチメンタル・ジャーニー』
    『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
    『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
    書店別 週間ベストセラーズ
    ■東京■東京堂書店様調べ
    1位 マチズモを削り取れ
    (武田砂鉄)
    2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
    (山下賢二)
    3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
    (村上春樹)
    ■新潟■萬松堂様調べ
    1位 老いる意味
    (森村誠一)
    2位 老いの福袋
    (樋口恵子)
    3位 もうだまされない
    新型コロナの大誤解
    (西村秀一)

    取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約