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評者◆室沢毅
中野重治、井上光晴、安部公房、梶井基次郎の批評が刺激的――著者の文学論には、この世の危うさに対する警世の思いがある
文人の社会科学――守節と転向をめぐる精神史
河野基樹
審美社
No.2907 ・ 2009年02月28日




 著者は、前著『近代日本文学思潮史の研究――思索的転進の諸相』(プランニング21・2000年刊)にて、「文学的思索の日本におけるかたちを、思想上の転向・非転向の観点から考察した」のだが、「思索の種々相を検討しているうちに(略)その非論理性とでもいうべき傾向への、抜き難い絶望」に至り、「その原因を考えるうちに、全てのおおもとに、社会科学の必要性への無知と、社会科学的思考の甚だしき欠如があるのではないかと考えるようにな」(「あとがき」)り、「文学への社会科学の反映、文学者の社会科学に対する見識、作品への投影ということを」(「はじめに」)研究主題として本書を著したとそのモチーフを述べている。
 さらに著者は、「文学の想像力というものは本来、これら三作品(引用者註=榎本武揚を主題とした子母澤寛、久保栄、安部公房らの作品のこと)よりさらに先が目差されねばならぬだろう。〝感情移入〟や〝疑え〟、手妻の割れた〝思想相対化〟などとは一線を劃し、政治に伍して、ポリティカルな面における高度な判断力、謂わば社会科学的思考・思索の力を涵養することこそが必要なのではないか」(144P)とも述べている。
 わたしは、本書を読みながら、著者のある種、率直な社会科学的思考法への傾斜を戸惑いながら受けとめることに...







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