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評者◆小川和佑
その生涯を語る重田ワールド――七〇年代から現在までの激動の時代相を如実に浮かび上がらせる
歩いて、笑って、考える
重田昇
No.2907 ・ 2009年02月28日




 一九七〇年、早稲田大学在学中の著者は、『早稲田文学』で文学への一歩を踏み出した。当時、東京大学安田講堂の攻防戦を境に全国の大学での全共闘の学生運動は急速に衰退しつつあった。
 この当時、大学にあって六〇年安保闘争以来の学生運動の渦中にあった筆者が振り返ってみると、七〇年の大学キャンパスには学園闘争の余熱と虚無感が漂っていた。
 著者重田昇はそういう時代を呼吸し、その翌年(七一年)に最初の長篇『風の貌』を完成した。仄聞するところによると、『風の貌』は著者の親友の不条理な夭折がこれを書かせたという。
 この重く暗い第一作の長篇は椎名麟三や梅崎春生の諸作に通うものがあった。
 以後、彼は長い沈黙の時代を過ごし、一九八六年(昭和六一年)に「現代けんこう出版」を立ち上げる。高齢化社会を見通しての設立であった。いまでいえばベンチャー企業の嚆矢であった。
 今回『歩いて、笑って、考える』に収められた諸篇は、一九九三年(平成五年)から二〇〇七年(平成一九年)に発表されたものであり、全七章、紀行、対談、講演、詩、書評、エッセイ、小説を収めるきわめて特異な一冊であることから、あえて「重田ワールド」と呼んだ。
 さて、著者重田昇からすれば、第一に巻末小説「霧箱」から読んで欲しいであろう。しかしな...







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