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西南戦争外史 太政官に反抗した西郷隆盛
西南戦争外史 太政官に反抗した西郷隆盛
飯干憶
No.2906 ・ 2009年02月21日




 明治六年(一八七三)征韓論が容れられず参議を辞任した西郷隆盛は鹿児島に帰ったが、、薩摩出身の軍人たちの多くが彼の後を追って辞職、近衛軍はがら空きとなる。西郷は鹿児島の旧城下に鹿児島私学校を創設、県の行政組織も私学校党で固め、さながら独立国の観があった。そこに政府による火薬庫の武器搬出などの事件が発生、ついに西郷は「政府に尋問の筋あり」として決起する。
 戦争は熊本城包囲と田原坂の戦闘などがよく知られているが、政府軍が有利になったあとの西郷軍が宮崎県に入り、徴税、弾薬の製造、軍票の印刷(西郷札)などで抵抗したことは意外に知られていない。当時宮崎県は鹿児島県に合併されていたから、西郷軍はここに根拠地を作ろうとした。西郷も延岡付近まで進出する。しかし次第に追い詰められ、焦土作戦にも出て民衆の反感を買い、ついに山越えで鹿児島に戻ってくる。
 著者は大阪の真田山陸軍墓地、宮崎、鹿児島に残る戦跡を訪ね、本書を書いた。西郷を慕う人は今日も多く人格者とされるが、著者は多くの人を死なせたとしてその出処進退に疑問を呈している。







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