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評者◆柏原和子
追悼 ジョン・アップダイク 普遍的な人間の生を見通す――その時代のアメリカ社会をリアルタイムで取り込む
No.2906 ・ 2009年02月21日




 ソール・ベローが逝き、ノーマン・メイラーが逝き、とうとうジョン・アップダイクまでが逝ってしまった。一時代の終わりを感じるのは私だけではないだろう。1950年代後半に英語を母語としない読者を悩ませるほどの豊富な語彙を駆使し、一風変わった美しいメタファーに満ちた流麗なスタイルでデビューしたアップダイクは、その後、半世紀以上にわたって常に第一線で活躍してきた作家であった。多作な作家で、「9時から5時まで歯医者のようにオフィスで仕事をする」勤勉さの成果は23冊の長編小説、14冊の短編集、8冊の詩集、10冊のエッセイ・評論集として結実した。
 従来からアップダイクのスタイルは高く評価されてきたが、その一方で「つまらないことを美しく書く作家」と評されることもあった。ギリシャ神話と現代世界の物語が交錯する『ケンタウロス』(1963)やアフリカの架空の国を舞台にした『クーデタ』(1978)のような実験的な作品もあるが、アップダイクの本領が発揮されるのはやはり、都市郊外に住む中流階級の日常をリアリスティックに描いた作品であろう。「ウサギ四部作」に代表されるこのような小説はその時代のアメリカ社会をリアルタイムで取り込みながら、サバービアの日常を描くため、単なる大衆小説、風俗小説として読む向きも...







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