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評者◆青木孝平
追悼 降旗節雄 宇野経済学の理論的継承に生涯を全う――原論から現代資本主義論まで全領域を独自にまとめ上げ
No.2906 ・ 2009年02月21日




 一月二八日の早朝、降旗節雄先生は約半年にわたる闘病生活をへて静かに他界された。享年七八歳であった。先生はいうまでもなくわが国のマルクス=宇野経済学の重鎮であり、孤軍奮闘して宇野理論の孤塁を守ってこられた。文字どおり最後で唯一の宇野学派と呼んでもおそらく過言ではないだろう。
 私が先生に最後にお目に掛かったのは昨年の五月一七日。いつも二人で落ち合う渋谷の寿司屋だった。私は経済学プロパーではないので、どちらかといえば研究会でよりも私的にお会いすることが多かったのである。その日先生はいつもどおり、まず映画と演劇、推理小説の話を楽しそうにお喋りし、それから熱を込めて日本と世界の経済の現状を語り、しだいに語気を荒らげて、最近のマルクス経済学の堕落ぶりを憤懣やるかたない口調で話された。その中心は、今日の宇野学派の多くが新古典派的な当事者行動論や制度派をまねた資本主義の多様性論に陥り、資本主義そのものに対する批判精神を喪失していること、宇野理論の原点は共同体に対する市場の外部性という認識にあり、市場経済批判の抜けたグローバリゼーションの評価はもはや宇野理論とはいえないこと、等々であったと思う。
 それから最後にぽつんと、このごろ胃の具合がわるく近々検査入院をするんだと言われ、けれども秋に...







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