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評者◆久保隆
一群の〈初期〉作品は、つげ義春という作家的膂力の源泉――主人公に「おれの漫画は芸術なんだ」と語らせている
生きていた幽霊
つげ義春
四つの犯罪
つげ義春
恐怖の灯台
つげ義春
No.2903 ・ 2009年01月31日




 新作を発表しなくなって二十年以上経っているにもかかわらず、2008年になって、つげ義春のヴァリアント本が相次いで刊行されている。93~94年に出版された『つげ義春全集(全八巻・別巻一)』の文庫版『つげ義春コレクション(全九冊)』(筑摩書房)、03~04年に出版された『つげ義春初期傑作短編集(全四巻)』、『つげ義春初期傑作長編集(全四巻)』の文庫版・全八冊(講談社)、そして本書の初期貸本漫画時代の単行本の完全復刻本(全三冊)である。『全集』刊行時、初期貸本漫画作品の多くを収録しなかった理由として、つげは「稚拙で未熟な過去を晒すのは気がすすまぬ」とし「粗末な作であるのは生活苦による乱作のためばかりではなく、マンガ全般のレベルが低かった時代」だったからだとなんの衒いもなく述べているが、わたしたちは、そのようには見ていない。わたし自身、つげ義春の一群の〈初期〉作品を、まさしくつげ義春という作家的膂力の源泉として捉えている。どんな事情や時代背景があろうとも、作家の作品歴は地続きなものであり、〈初期〉を抜きにしてはその作家の世界像を語ったことにはならないからだ。
 あらためて本書全三冊を読み返してみて、その思いをさらに強くしている。既に、この三冊に収められた作品は「選集」(77年、81...







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