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評者◆山本光久
着実かつラディカルなモノグラフィーの実践――「文学」研究の地平をひらく
ロートレアモン 越境と創造
石井洋二郎
No.2902 ・ 2009年01月24日




 イジドール・デュカス/ロートレアモン伯爵についてはおびただしい文献・研究の積み重ねがあるのは周知の通り。曰く、19世紀ロマン主義の徒花(この捉え方から「別の」可能性も開けるので直ちに一蹴するわけにはいかないという悩ましさが残る)という評価を始めとして、精神分析学的研究、シュルレアリストたちによる「発見」とその熱狂=偶像化(例の有名な「手術台におけるコウモリ傘とミシンとの出会い」)、マルスラン・プレネ、ソレルス、クリステヴァらのテクスト理論による読み直し、さらには「新資料発掘」の時代などを経て、『マルドロールの歌』ないし『ポエジー』(かつては「詩学断章」と訳されていた)は、そのにわかには同定されえぬ「自己同一性」の分裂ゆえに再審に付されていた。この「再審」の疑問自体が問題化されうるわけだが、これについては本書の終結部で胸のすくような一つの回答が与えられる。
 さて、本書の著者・石井洋二郎氏は、既にして『ロートレアモン イジドール・デュカス全集』(2001年、筑摩書房)という素晴らしい訳業を上梓しておられる。このこと自体賛仰に値すると思うが、まあそれはともかくとして、ここで興味深いのは、本書でも著者が一貫して論理的に件の著者の軌跡を追っていることである。
 どういうことか。
 ...







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