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評者◆秋竜山
おじいさんとおばあさん、の巻
No.2901 ・ 2009年01月17日




 子供というものは、なぜ、「なぜ」「なぜ」を連発するのか。どうして、「どうして」「どうして」を連発するのか。そのたンびに、答えられない大人たち。一つ答えると、二つ三つと答えなくてはならない。子供はそーしないと満足しない。「いいかげんにしろ」と、大人は怒りだす。「おとぎ話」がそーだ。「おとぎ話」には「なぜ」とか「どうして」は禁物である。なぜならば、追求できないからである。関裕二『おとぎ話に隠された古代史の謎』(PHP文庫、本体四七六円)を読むと、おとぎ話の謎がわかってくる。しかし、本書のままを子供に読んで聞かせても、むずかしいだろう。大人にだって、「なぜ」とか「どうして」をいいたくなってくる。それ以上、聞くのはヤボというものだということにしておくべきだろう。〈本書は、二〇〇五年一月にPHP研究所より刊行された「おとぎ話に隠された日本のはじまり」を加筆修正し、改題したものです。〉と、いうことだ。「日本のはじまり」が「古代史の謎」となっている。このほうが読んでみたくなるのではなかろうか。隠された謎となれば、いったい何んだろう〓 ということになるからだ。前に出た本も読んでいるはずだ。で、また読む。新しい本と形を変えたからということもあるが、読んでいて、前に読んだという記憶がよみがえるというよりも、ほとんど忘れているということだ。本は読んで忘れるためにあるものかもしれない。何度でも読んでたのしむためにもだ。本書の、〈本稿は、子どものころから親に読んで聴かされ、また子どもに語り継いでいるおとぎ話が、じつは古代史の秘密を握っていたのではないか、という話である。じっさい、われわれはおとぎ話について、いくつかの誤解をしていたようである。たとえばおとぎ話や昔話といえば、牧歌的な「童話」と思われがちだ。しかしここからして、すでに大きな間違いなのだ。絵本の中の昔話は、子ども向けにアレンジした代物にすぎないのであって、本当のストーリーの中には、目を疑うようなあらすじが隠されているからである。すなわち、われわれは子どものころ、大人たちの「教育的配慮」によって、本当のおとぎ話を聴かされていないのである。〉(本書――はじめに)つまり、〈どうやらおとぎ話は、子どもに読んで聴かせても無害な勧善懲悪の物語ではなかったようである。〉ということだ。では、子供をだまして話しているのかというと、そうとらえては大人げがないのかもしれない。多くの昔話は、「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました……」とはじまる。なぜ、おとうさんとおかあさんではなかったのかというギモン。昔話はおじいさんとおばあさんでないと困るからだ。と、子供に説明してもわかるわけがない。大人だってわからないだろう。どう説明するかは、そのために本書があるのだ。本書を一読すれば、「なーんだ、そーだったのか」ということになる。昔話に出てくるのは「いいおじいさんと悪いおじいさん」であったり、大体が、おばあさんは「いじわるなおばあさん」であった。そんなことより現代社会は、「おじいさんとおばあさん」ばっかりになってしまった。子供たちに、その理由を話して聞かせるべきだろう。







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