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評者◆道場親信
歴史を開く起爆力――「忘れられた戦争」の封印が解かれた
朝鮮戦争の社会史――避難・占領・虐殺
金東椿著、金美恵・崔真碩・崔徳孝・趙慶喜・鄭栄桓訳
No.2901 ・ 2009年01月17日




 近年、韓国ではこれまで「封印」されてきた現代史上の事実についての真相解明が進められてきたが、朝鮮戦争をめぐる議論はその中でもとりわけ大きな意味をもっている。それは単に事実関係を明らかにするアカデミックな作業にとどまるものではなく、これまでその探求を「封印」してきた力、すなわち独裁政治と冷戦体制そのものを批判的に問い、犠牲者の名誉を回復し、社会のあり方を見通していくという実践的関心と結びついている。「歴史」が死んだ過去ではなく、「現在」が過去と切れた浮遊する時間とはならない、そうした連関の中で問題が立てられ、その探求が再び「歴史」と「現在」とを結びつけていく、その結節点に著者・金東椿氏は存在してきた。
 盧武鉉政権下で「真実・和解のための過去事整理委員会」委員を務めた著者は、委員会発足以前から国家暴力の犠牲者の真相調査と名誉回復のための在野運動に関わり、事実の発掘につとめてきた。本書はそのような作業の中で書かれた著作である。
 著者自身も述べるごとく、朝鮮戦争は「忘れられた戦争」であった。戦争の記憶はきわめて選択的に形成され、戦争後の韓国の「反共主義」を支える言説としてのみ存在を許された。この記憶・言説・国家暴力は相互に連関した形で構造化され、戦争の実相を不可視のものとしてき...







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