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評者◆秋竜山
スケベ心を持ち続けなさい、の巻
No.2898 ・ 2008年12月20日




 老化と老後は同じことか。和田秀樹『人は「感情」から老化する――前頭葉の若さを保つ習慣術』(祥伝社新書、本体七四〇円)を読む。オビに〈「脳年齢」より「感情年齢」!、四〇代から始まる「感情老化」がすべての元凶〉と、ある。四〇代ならいいほうで、二〇代から老化は始まっています。そのなによりの証拠は、二〇歳の時、「アア……人生につかれちゃったなァ……」なんて、つぶやいたりしたものだった。あの時から私の老化は始まっていたとすれば、ずいぶん長い間の老化であることか。いや、自分は若い!!と、思ったこともあったりしたものだ。そんな時は、ウキウキしている時であった。「人生まんざらでもない」と思える時であるが、「人生つかれた」あっての「人生まんざらでもない」なのか。そのへんのところが、自分でもよくわからない。本書でいうような「脳年齢」とか「感情年」というのも、自分ではわかっているようでいて、実はなんにもわかっていないようだ。馬鹿は死ななきゃ、なおらない!! という。頭は使わないと衰える!! という。
 〈しかも、年を取るほど落ち方は大きくなる――ということは、運動機能やIQは低下していなくても、意欲や自発性、その原動力となる好奇心など「感情が老化」してしまって、年を取っているのに体を動かさない生活、頭を使わない生活をしてしまうと、いよいよ本当に運動機能やIQまでが衰えていく可能性が高いのだ〉という(本書より)。
 頭を使わないノンビリした生活をおくりたい!! と思ったとたん老化人生の始まりということになるだろう。
 〈「感情の老化」を引き起こす三大原因〉〈①前頭葉の老化(前頭葉は思考や意欲、感情、性格、理性といった、人間ではの振る舞いを司っている。)〈脳の中でも早くから神経細胞の減少が起きるのが前頭葉だ。前頭葉を使いつづけること、すなわち感情の老化を防ぐことが、すべての老化を食い止める。第一歩といえる。〉〈②動脈硬化〉〈③セロトニン(神経伝達物質)の減少〉〈脳内のセロトニンが不足すると、一般的にはうつ病になる。若い人でもセロトニンが一時的に減って、うつ病の症状が出ることがある。〉(本書より)
 そして、一番わかりやすい例が
 〈昔は女性と飲める、というだけで喜んで出かけていたのに、それすらも面倒くさくなる。「スケベ心」までなくなってしまったら、感情の老化が相当進んでいる証拠だ。〉(本書より)
 女性にとっても同じことがいえるのだろうか。わかったことは「スケベ心を持ち続けなさい」ということだ。「死ぬまで持ち続けるべし」ということだ。「スケベ心がなくなると老化する。いかに、スケベ心というものが重要であるか。「感情」とは、すなわち「スケベ心」であるとは、うれしいような、うれしくないような気分でもある。「まったく、あんたって、いくつになってもスケベ心を持っているんだから、トシを考えなさいよ、トシを!!」なんていう女房のセリフは間違っていたことになる。「あなた、いくつになっても、スケベ心を持ち続けてちょーだいよ」といえる女房こそ、亭主を老化させない良妻ということになるだろう。うれしいような、うれしくないような。







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