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評者◆矢口進也
地名は日本列島の文化遺産――神社の祭神からも古代人の思考がわかってくる
民俗学の愉楽
谷川健一
No.2897 ・ 2008年12月13日




 先ごろ埼玉県の秩父を訪れた。バスが皆野町というところを通過した。おもしろい地名だ、と感じた時、比較的近い地域に吾野町があることに気がついた。アガノとは私の、という意味ではないか、そうするとミナノは、そのほかの、というわけか。土地の開発と所有にかかわる命名ではないか、と思ったのである。しろうとの見当ちがいな推測かもしれないがそんなことを考えた。土地の名前とは古い由来を示すことが多い。だから最近の市町村合併で新奇な名称がつけられることに谷川健一氏は反対した。地名はそのまま人の姓になることもあり、地形の表現でもある。大事にすべきだろう。
 本書は民俗学を研究する手がかりとして五つの項目をあげているが、その一つが「地名」である。村落共同体の最小単位が小字で、その個々の地名は日本列島の文化遺産である、という。自分の「谷川」という姓も先祖の居住地であった集落に由来するし、土地の言い伝えが歴史をつたえている。奈良・ナラとは韓国語でクニのことだ、というので奈良県が古い国都だと推測する説があるが、奈良県内に七〇もある。これは、ならす、傾斜地を平らにすることから来ていると考えられるのだという。前田という地名は単に家の前の田を指していると考えがちだがそうではなく、寺社や豪族などが神事のために稲を...







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