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評者◆O
独自のマルクス主義史観から「一六四八年の神話」を突き崩す――歴史社会学にとっての新しい国際関係理論を提示
近代国家体系の形成――ウェストファリアの神話
ベンノ・ティシケ 著 君塚直隆 訳
No.2893 ・ 2008年11月08日




 サブタイトルが、端的に本書の狙いを示している。これまで慣習として、あるいは「定説」のように語られてきた国際秩序の枠組みを、革命的に脱構築し、新たな枠組みを提示しようとするの本書である。
 では、本書のいう「神話」とは何か。三十年戦争終結の際、一六四八年に結ばれたウェストファリア講和条約によって、近代的な主権国家にもとづくヨーロッパ秩序が形成され、国家主権で分断された境界線が築き上げられる画期になったという、国際関係論の神話のことである。
 たしかに、近代的な国際秩序の勃興をウェストファリア講和条約と結びつけるのは、これまでの国際関係論の慣習だった。つまり、この講和条約によって確立されたウェストファリア体制こそが、主権国家にもとづくヨーロッパ秩序を形成し、さらにそこには紛争と協調に関する近代的なルールが付随していたとする考えが自明視されてきたのである。たしかに、そうした慣習に則れば、ウェストファリア条約は国際関係史上の決定的な転機ということになる。
 帝国と教会の階層性によって秩序づけられていたさまざまな成分から成る封建時代のアクター、それが交錯する複雑な関係がこの転機を経ることによって、近代主権国家の間の公式化された関係に変わった――それが著者のいう「一六四八年の神話」である...







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