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評者◆米田綱路
「消し去られた国境の都市」の歴史――東方ユダヤ人の足跡をたどる二書
ガリツィアのユダヤ人――ポーランド人とウクライナ人のはざまで
野村真理
知られざる魅惑の都市たち――EUの東を歩く
平田達治
No.2893 ・ 2008年11月08日




 二〇〇三年の春、『知られざる魅惑の都市たち――EUの東を歩く』の著者、平田達治氏に随伴して西ウクライナの都市リヴィウを訪ねた。旧ハプスブルク帝国治下の時代、東方ユダヤ人が集住する東ガリツィアの中心都市であり、作家のヨーゼフ・ロートが青春の一時期を過ごした街である。ロートの生地はそこからさらに北東、かつてのハプスブルク帝国とロシア帝国の国境線近くにあるユダヤ人の町ブロディにある。
 平田氏が初めてリヴィウを訪れたのは、ロート生誕一〇〇年を迎えた一九九四年のことだった。ソヴェト時代にはロシア語でリヴォフと呼ばれたこの街は、鉄のカーテンに閉ざされた、いわば「秘境」だった。ソ連崩壊とウクライナ独立の余燼冷めやらぬこのとき、平田氏が見たのは、市街地に立ち並ぶ壮麗な建物だった。そこには、ウィーンと地続きのようなバロックの空間が広がっていたのである。
 中欧の都市文化論の研究者でもある平田氏は、その街並みに驚いた。表通りだけでなく、一歩細い通りに足を踏み入れると、たとえば一九一一年建築の後期分離派の建物が残っていた。「この界隈はまさしくモデルネの建築群の宝庫である」と彼はつづる。リヴィウ中央駅の駅舎も、かつての繁栄をしのばせる立派な建物であり、戦禍で破壊されたウィーンには、もはやこれだけ風...







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